【4】・二人きり。 ページ6
『Noside』
長い廊下を歩いてると、エンマ大王が口を開く。
エンマ「Aに、“大王様”って言われるのは何だか妙な違和感があるな」
A「仕事中なので仕方ないんです」
きっぱりと言われてしまうが、こうして彼女と二人きりという事が嬉しいエンマ大王は全く気にしない様子で笑い返した。
A「それと、業務上はそう呼ばないといけないので文句言わないでくださいね」
エンマ「今のは少し言い過ぎだぞ?お前、最近ぬらりに似てきたと思う」
肩を並べて一緒に歩く二人の後ろ姿は、障子の隙間から差す夕日に照らされていた。
A「...何日間、泊まる予定なんですか?」
エンマ「5日間くらいだ。彼奴らには色々と、世話になっているからな。日頃の疲れを癒して欲しいと思って連れて来た」
すると、Aはほんの一瞬少し寂しそうな表情になって誤魔化す様に微笑んだ。
その一瞬を見逃さなかったエンマ大王は、Aの頭に片手を置いて彼女にだけ向ける優しくて穏やかな笑みを見せた。
エンマ「また近い内、此処に来る」
A「はい....」
微かに頬を赤く染め上げたAは、その仕草だけでも彼に魅力的だと感じさせた。
エンマ「その顔、他の奴らには絶対に見せるなよ」
わざとらしく、彼女の耳元で囁いたエンマ大王も内心はとっても荒れていた。
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作者名:カナミ | 作成日時:2023年11月17日 1時