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【44】・昔の名前。 ページ46

『Aside』
撫でられてる猫又を横目に、ナツメちゃんはある事を聞いてきた。

ナツメ「あの〜.....何で猫又は、エンマ様のことを“イツキ”って呼ぶんですか?」
アキノリ「それ俺も思ってた!」

その質問に困っていると、私の頭にポンっと手を置いて代わりにエンマが答え出した。

エンマ「昔の名前だ。俺が人間として生きてた頃のな」

不安な私に対して、まるで“心配するな”とでも言っているような優しい瞳を向けてくる。

エンマ「猫又は、昔の名前で俺を呼ぶ癖が付いてるんだろ」

私のことを真っ直ぐな瞳で見つめてくるから、何だか気恥しい。

A「(私を見つめなくても良いでしょ....)」

変に緊張してしまうと思いながら、目線を逸らして私はエンマが話してた内容に一言付け足す。

A「あまり、お客様の前で呼んじゃダメって散々言ってあるんだけど。無意識に呼んでるっていうのもあるかもしれないんだよね」
ナツメ「昔の名前でエンマ様を呼んだら、周りに居るお客さん達とかが疑問に思いますもんね」
A「そうなんだよね〜。普通に今の名前で呼ばせたいと思っても、猫又は慣れなくてさ」

リラックスしきってる猫又は、大きく口を開けて欠伸をする。
それを見たエンマが、こんな事を言ってきた。

エンマ「それにしても、急に懐いてきたな。昔は俺にだけ、懐かなかったくせに」

思い返してみれば、確かに昔は彼だけに懐いていなかった....

A「大判焼きをくれるからでは....?」
エンマ「嘘だろ、そんな理由で懐くか?」

流石に冗談だと伝えると、エンマはムッとした目を私に向ける。

猫又「オレっち、今のイツキの方が接しやすいニャ」

ゆらゆらと尻尾を揺らして、そう言った猫又。

エンマ「今の俺が接しやすいって何だよ」
猫又「怒るから言わないニャン」
エンマ「A、やっぱり此奴は可愛くないと思う」
A「まっ、まぁまぁ...落ち着いてください....」

さらに機嫌悪くなっちゃったエンマを宥め、お気楽そうな猫又は澄まし顔で尻尾を揺らしていた。

【45】・喧嘩するほど仲が良い。→←【43】・猫又、またまた登場。



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作者名:カナミ | 作成日時:2023年11月17日 1時

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