【35】・簪を贈る意味。 ページ37
『Aside』
旅館に着いて、私はエンマに渡された紙袋を持って部屋へ向かった。
(向かう途中、何人かの仲居さんに微笑まれて“近い未来、お妃様になるのねぇ”と言われたが何の事か分からなくて困ってた)
八鳳「お帰り、A。今帰ってきた感じ?」
A「そうですよ、今旅館に帰ってきました。八鳳さんも、午前中で仕事終わりでした?」
八鳳「午後の13時くらいに終わったよ。それより、デートで何したか聞かせて」
A「それ聞く為に部屋の近くで待ってたんですか?」
八鳳「正解」
廊下で話すのもあれだし、部屋に入れてデートの事を話した。
お洒落なカフェに行った事、知り合いの座敷童子に青色の薔薇とカサブランカを渡された事や結婚の話が切っ掛けで本音を話し合った事。
私が話していた間の八鳳さんは、真剣に聞いてくれた。
八鳳「色々あったんだね」
A「はい。だけど、本音で話し合ったのは私としても良かったと思ってるんです」
“今までずっと悩んでたもんね”と言って、八鳳さんが紙袋を見て驚いた顔をした後に何故かケタケタと笑う。
八鳳「大王は、アンタと結婚したいって本気で思ってるんじゃない?」
A「え?どうしてですか?」
紙袋に描かれている月下美人の花を指差した。
八鳳「その花が描かれてるのって、簪と櫛で有名なブランド店なんだよ。主に、簪とかは男がプロポーズの時に女へ贈るもの。意味としては、『貴女を守ります』って感じだったかな」
そんな話を聞いていた私は、顔が熱くなっていくのを感じながら心の中で嬉しさに浸っていた。
紙袋から簪が入ってる箱を取って、開けてみる。
A「(綺麗.....! )」
金色の蝶と薄いピンク色の蝶の飾りが付いた揺れもの簪。
八鳳「良いセンスしてる。Aに似合ってるよ」
A「あ、ありがとうございます!」
それから、八鳳さんと色んな話をしていた。
結構な時間が経って、八鳳さんが戻って行った後に私はナツメちゃん達のデザートを作りに調理場へと部屋を出た。
30人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カナミ | 作成日時:2023年11月17日 1時