彼女は大王様に溺愛されてる (ページ35)

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【33】・素直な気持ち。ページ35

『Aside』
待ってる間、私は遣る瀬無い気持ちでいっぱいだった。

A「(気まずくさせちゃったなぁ)」

本当の気持ちを言葉に出せなくて、きっとエンマも何か隠してる。
言わなきゃいけない事なのに、お互いに遠慮し合ってるから気まずくなってしまう。

A「(ちゃんと話さなきゃね....)」

そう思っていると、エンマが戻って来た。
片手には、小さな和柄の紙袋を持っている。

エンマ「待たせたな」
A「そんな待ってないよ。言った通り、早く戻って来たでしょ？」

笑いかけると、彼も少しだけ笑みを浮かべた。

エンマ「A、話したい事がある。出来れば、別の場所でも大丈夫か？」
A「大丈夫だよ」

手を繋がれると、エンマは指をパチンと鳴らす。

次に目を開けた時には、辺り一面に綺麗な薔薇の花が咲く場所へと連れてこられた。
美しい景色に、思わず息を呑む。

A「こんな綺麗な所、いつ見つけたの？」
エンマ「子供の頃、爺ちゃん.....先代閻魔大王と此処に来て見つけた。たまに、ツクヨミやククリ姫も居る時があるんだよ」

彼に手を引かれながら、色んな薔薇を見て行く。

クイーン・エリザベスやジュリエットが咲いていて中でもロマンティックエンジェルの花弁が水に浮かぶ噴水は幻想的で目を奪われた。

エンマ「お前が気に入りそうだと思って、いつか此処に連れて来ようと考えてた」

“気に入ってくれたか？”と、問うエンマに私は首を縦に振って頷く。

A「凄く気に入ったよ」

そして、桜の花が咲き誇る大きな木に寄り掛かってゆったりと過ごしていた。