【32】・隠した本音。 ページ34
『エンマside』
花言葉の意味を教えてもらった時、座敷童子が俺の気持ちを見透かしてる事に気付いた。
エンマ「(いつから気付いてたんだよ.....)」
なんて思いながら溜息をつくと、さっきまで放心状態だったAが恥ずかしそうに口を開く。
A「早とちりし過ぎだよね...まだ私達は、結婚とか考えてない訳だし....」
そう言う割に、少し期待している表情になっているのを俺は見逃さなかった。
エンマ「お前は、結婚したいって思うか?」
A「思うには思うけど、でも....」
思い詰めた顔をして、Aがそれ以上言う事は無かった。
エンマ「(何が引っ掛かるんだ?)」
軽く考える事じゃ無いのは分かってるけど、Aの表情からして何か別の不安があるのは察した。
エンマ「悪い、変な事聞いたな」
A「ううん、謝らないで大丈夫だよ」
素直に言うべきだと思っても、Aが何か不安だと思っているなら伝えない方が良い。
エンマ「(今の状態じゃ言える訳ねぇな....)」
『Aと結婚したい』
その言葉が伝えられないまま、今までずっと本音を隠してきた。
今の関係でも十分、幸せだと感じているから。
A「エンマ?ねぇ、ボーッとしてどうしたの?」
エンマ「いや、何でも無い」
Aの手を引いた俺は、向かい側にある簪屋が目に留まる。
エンマ「(簪....)少しの間、此処で待っててくれないか?」
A「うん、分かったよ」
表情が明るくなった気がして安堵する。
エンマ「すぐ戻る」
頭を撫でてAの頬にキスをした後、簪屋に向かった。
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作者名:カナミ | 作成日時:2023年11月17日 1時