【23】・館内を見て回ろう。 ページ25
『ナツメside』
暇になった私達は、部屋から出て館内を周ろうと考えた。
暫く歩き回っていると、私達の前に居たアキノリが見渡しながら口を開く。
アキノリ「それにしても、この旅館広いよな。外観からして大きいって感じてたけど、いざ中に入ってみると思ってた倍くらい広い」
ナツメ「分かる。迷っちゃいそうだよ」
幾つもの部屋と色んな食事処や売店、小さな子供が遊べる施設があった。
中でも、甘い香りが漂う和風喫茶や京藤色と薄藤色のグラデーションが美しい看板を掲げてる呉服屋は沢山の妖怪達で賑わっていた。
ナツメ「こんな所で働いたら、絶対に楽しいだろうな〜！Aさんも居るし！」
トウマ「ナツメは、本当にAさんに懐いてるね」
ナツメ「うん！あんなに可愛くて綺麗な人は、今まで会った事がないからね」
すると、突然アキノリが声を上げた。
アキノリ「Aさん見つけた！」
ナツメ「嘘、どこに居るの?!」
指差した方向を見ると、家族連れのお客さんと話しているAさんが目に入った。
何かを楽しそうに喋った後、近くに居た女の子と背が小さい男の子に話し掛けた。
ナツメ「Aさん、子供慣れしてるよね。今だって、凄く優しい目であの子達のこと見てるもん」
同じ目線になるように屈んで、まるで聖母のような優しい眼差しを向けていた。
アキノリ「お菓子作りも出来て、子供慣れしてるAさんは良い嫁になれそうだよな。品もあって、美しくて....」
ナツメ「いや、誰目線で語ってんのよ」
デレデレなアキノリに対して、私は呆れつつも冷静にツッコミを入れた。
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作者名：カナミ | 作成日時：2023年11月17日 1時
