【18】・揶揄われるのは毎回の事。 ページ20
『Aside』
従業員室で仕事内容を確認していると、何か物凄い視線を感じて振り返る。
A「な、何ですか.....?」
後ろに居たのは、女将さんと数人の仲居さん達。
女将「Aちゃん、大王様とラブラブね〜」
A「えっ?!」
仲居1「本当よね、昨夜も部屋に戻って来てなかったみたいだし....若いって良いわね〜」
仲居2「あの大王様ですら、Aちゃんが来た途端に分かりやすく嬉しそうにするのよ?」
A「や、やめてくださいよ皆さん!」
この温泉旅館で働く従業員にも、それぞれ部屋がある。そこに居る時は、部屋の鍵を開けとけなければならない。
(居ない時は、鍵を閉めて従業員室のウォールフックに掛けておく)
女将「昨夜は、どんなことをしたのかしらねぇ」
A「お願いですから、もう勘弁してください!」
このままじゃ、恥ずかしくて仕事どころじゃない。
そう思っていた時、女将さん達の後ろの方から誰か出て来た。
八鳳「程々にしないと、その内Aが恥ずかしさで仕事が出来なくなりますよ」
A「八鳳さん!」
ラベンダーアッシュの髪色と、キリッとしたつり目が特徴的な人(妖怪)だ。
年上で、とても優しくて頼れる存在。
八鳳「おはよ、A」
A「おはようございます!」
不器用な手付きで頭を撫でられる。
A「こんな時間に八鳳さんが来るのは、珍しいですね。いつもだったら、誰よりも早く来てすぐ受け付けの所に行っちゃうじゃないですか」
八鳳「忘れ物しちゃったから、取りに来たんだ。丁度、Aにも会えたし一緒に行く?」
A「はい!」
私は、八鳳さんと従業員室を出て仕事場に向かう。
A「私とエン....大王様のそういう話を聞いて、女将さん達は嬉しいんでしょうかね.....」
八鳳「まぁ、なんたってAは旅館の看板娘だし女将さん達にとって“可愛くて大事な子”っていう感じなんだろうね。あとは、若い子の恋愛を知りたいとか?」
A「でも、質問の遠慮が無いです」
八鳳「それは言えてる」
そんな事を話しながら、一緒に歩いていた。
八鳳「言い忘れてたけど、今日は首を隠してた方が良さそうだよ」
A「えっ?どうしてですか?」
八鳳「エンマ大王が付けたキスマークと噛み跡が見えるから。あの人、結構独占欲強いんだね」
急いで首を隠して、熱くなった顔を手で扇ぐ私は八鳳さんからも少し揶揄われた。
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作者名:カナミ | 作成日時:2023年11月17日 1時