【17】→続き ページ19
『Aside』
そろそろ仕事の時間だと思って、エンマから離れようとするが抱き締める力を強くされた。
A「そろそろ行かないと間に合わないから、早く離して....」
エンマ「もう少し此処に居てくれよ」
頑なに私を離さない。
普段の彼と違う様子が心配になって声を掛ける。
A「どうしたの、何かあった?」
エンマ「いや、別に何もねぇけどAを離したくないだけだ。俺が離したら、この部屋を出て行くだろ」
首筋に顔を埋められた私は、擽ったさに身を捩る。
A「まさか、私が仕事に行っちゃうのが寂しいの?」
エンマ「寂しいに決まってんだろ」
まるで犬みたいにスリスリに寄ってきて、つい笑いが込み上げる。
A「仕事は午前中だけって言ったでしょ?午後は久々のデートするんだから」
甘えてくるエンマの頭を撫でると、分かってくれたのか手を離してくれた。
身支度を済ませた私は、いつも通りに髪を結う。
エンマ「本当、髪長いよな。切ったりしないのか?」
A「切ろうって考えてるんだけど、女将さん達に“長い方が似合ってる”って言われるの。だから、切るのが惜しくなっちゃってさ」
長年、伸ばしてきた髪は少しだけ自慢に思う。
鏡越しにエンマを見ながら、ある問い掛けをした。
A「どっちが似合うと思う?」
エンマ「俺は、どっちでもAに似合うと思うぞ。長くても短くても、お前は可愛い」
その言葉が凄く嬉しくて、胸が高鳴った。
A「そう言ってもらえて、凄く嬉しいよ」
ずっと話していたいとこだけど、仕事に行かなくちゃならない。
A「....じゃあ、私行くね」
エンマ「気を付けてな」
小さく手を振ったエンマが何だか可愛くて、思わず引き返して彼の唇にキスをする。
A「愛してる」
キョトンとした顔のエンマを置いて、私は従業員室へと向かった。
【18】・揶揄われるのは毎回の事。→←【16】・彼女を離したくない大王。※軽め(R表現)
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作者名:カナミ | 作成日時:2023年11月17日 1時