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「こほん。高杉くん、準備はいいかい?」
「さっさと開けろよ」
「あっちょっ、そんなサラッと開ける?」
またもや皆からの視線を浴びる。高杉も来たことで教室内はざわつき始めた。それに高杉は眉を少し顰めている。嫌だったのだろうか。
「よし高杉!席に座ろうか!!」
「押すな、痛ェ」
何かを言い出しそうな高杉の背中を押し、席へと着かせる。高杉はジトッと私を睨んでから大人しく席に着いた。私は高杉の頭に手をポンっと置いたあと、自分の席に座った。
「なんであんな不機嫌なのあの人…」(小声)
「何ブツブツ言ってやがんでィ」
「ぎゃっ!あ、そうくんか…」
「高杉、来たんだねィ」
「そうそう、銀八さんが決定事項だぞって言ってさ」
「それに私も高杉の走ってるとこ見たかったし」と言うとそこでしまった、と思う。そうくんは高杉をあまり好んでいないから話題に出さないでおこうと思ったのに、と。
何か言い訳を言おうか、それとも謝ろうか迷った時、そうくんが口を開いた。
「…俺の走ってる所は」
「…え?」
「…俺の走ってるところは見たくないのかィ」
少し口を尖らせ、目を逸らしながらそう言うそうくん。いつもと違うその様子のせいで、言葉を理解するのに時間がかかった。「あ、ああ勿論見たいよ!!」慌てて戸惑いながらもそう口に出す。
「ちゃんと応援もするし!」
「どういう風に?」
「三三七拍子するよ!」
「それは楽しみでィ」
「そ、そう?」
久々に笑ったそうくんの笑顔を見て、なんだか胸が落ち着いた気がした。
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ミズキ(プロフ) - 亜水さん» わかります。。この小説は私の憧れを詰め込んでます笑 (2019年9月8日 8時) (レス) id: db1738cc34 (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - いいなー、こんな日常。ふとしたところで幸せを感じそう。 (2019年9月7日 23時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます!亀更新ですが応援してくださると嬉しいです、!(><) (2019年8月16日 19時) (レス) id: db1738cc34 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とっても面白いこの作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年6月19日 21時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミズキ | 作成日時:2019年4月7日 20時