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ブラホワ当日、円陣を組んだ彼らに「頑張れ。絶対いけるから」と声をかけ、ステージに行くのを見送った。下岡さんから質問や会話を繰り広げられた後、ŹOOĻのステージが始まった。
「いすみん、かっこいい…な、いおりん」
四葉くんやIDOLiSH7の皆さんからのそんな言葉に嬉しくなりながら、ステージをみる。するとふと、観客席の方に目がいった。
「…どうしたんだろ、騒がしいな」
よく目を凝らしてみると、了さんがそこにはいて。思わず「は?!」と声を出してしまった。
曲も終盤に差し掛かった頃、了さんが警備員の人に連れていかれるのを見たため、ステージを最後までみることは出来ないが、了さんのところへ向かった。
「了さん!」
「…A」
「来てたの?すみません、この人ツクモプロダクションの月雲了です。その手を離していただけますか」
「…A、いいんだ。もう」
「なに、どういうこと。わかんない、なんで」
ーーーそんな顔して私を見るの。
警備員の人の手を了さんから退けようとすると、拒まれる。了さんは、悲しいような、でもすっきりした何とも言えない顔で私を見ていた。
「僕は欲しいものに、やっと手が届いたんだ。やっと、
「だからA」
「お前も、見つけるんだ。前から今もずっと探してるものを」
「なん、で」
すると了さんは私の頭を撫でて、警備員の人たちとどこかへ行ってしまった。私は放心状態のまま、ステージの裏へ戻った。
「ーー戻ってくるよね、」
でもきっと、あの顔は戻ってくるつもりはないのだろう。いや、今はŹOOĻのステージに集中しよう、と了さんのことは忘れて、ステージに目を向けた。
それが私と了さんの最後だった。
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作者名:ミズキ | 作成日時:2020年1月18日 19時