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急ぎ足で悠くんの腕を引っ張りながら廊下を歩いていると、案の定「ねえ」と悠くんに話しかけられた。
「髪切ったの、イメチェンじゃなかったの」
「ごめん、嘘ついた」
「土下座したの…?」
「それくらいしなきゃ、いけないでしょ」
「俺たちのせいなのに…?」
悠くんの声が震えていることに気づき、ハッとして振り返る。「泣かないで」と背中を優しく叩く。やっぱり、負担になってしまったようだった。
「マネージャーとして当たり前のことをしただけ。私が土下座したのも、負担に感じることないから」
「…巳波とトウマと虎於は知ってんの」
「誰にも言ってないよ」
「俺が言う」
「は?!…ちょ、悠くん!」
ズンズンと私を置いて早足で楽屋に向かう悠くん。まずい、と思い、悠くんの腕を引っ張る。
「この話は、車でしよう。まだ棗くんと虎於くんの番が残ってるし、仕事に支障がでるかもしれない。」
「…分かった」
そう渋々と答えた悠くんに胸を撫で下ろす。そして虎於くんを呼び、インタビューを受ける部屋へ案内する。
「A、仕事が終わったら俺と夜を過ごさないか?いい夜にしてやるが」
「いや、いいです」
「釣れないヤツだな」
そんな茶番をしているが、私の心臓は柄にもなくバックバクだった。
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作者名:ミズキ | 作成日時:2020年1月18日 19時