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小話10 ページ35






百side




「ももせ、ごめん」


「〜っ、ずるい…!」



ふ、ははと笑うAちゃん。久々に名前を呼ばれて何故か酷く安心した。この業界に入ると、本名で呼んでくれる人が少ないから。あと、Aちゃんだからっていうのもあるのだろう。



「ちょっと。百だけずるい」


「ゆきとも、迷惑かけてごめん」


「Aはもっと、僕たちに迷惑かけていいよ。遠慮しすぎだ」


「うん、ありがとね」


「千斗も百瀬も大好きだから。大切だから、いろいろ考えちゃうんだよ。ごめんね、面倒で」



そう言ったAちゃんに千と2人して飛び付く。Aちゃんは子どもをあやすみたいに、頭をポンポンとする。涙が止まらない。それは千も同じみたいで「なんでだ、なんで」と動揺していた。



「はは、何でそんな2人とも泣いてんの?」


「こっちが聞きたいよ…よかったぁ…」


「何が?そんなに名前呼ばれたの嬉しかった?」


「Aちゃんが、帰ってきてくれたみたいで」


「ちょ、百…!それはずるい。ああ、ほらまた」



止まらないオレと千の涙。Aちゃんは「やめてよー。照れるなあ」なんて笑う。それにまた酷く安心する。



「もうどこもいかないよ。大切な人を置いていけない。」


「約束して。約束」


「うん、約束」



ああ、よかった。



ーーーー消えかけていたAちゃんが、ちゃんとみえる。



もう不安定な思いはさせないよ。

オレたちは、Aちゃんのアイドルだから。




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作者名:ミズキ | 作成日時:2020年1月18日 19時

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