四十三話 悲劇は突然に ページ48
−−−
そして、現在…
……ドシャ!!
首を絞められていたAは、ついに地面に突っ伏した。
「………。」
隼人「……俺の邪魔しなきゃ、姉貴も死なずに済んだのによ。」
ぐりっ、と姉を足で踏みつけた。
次の瞬間、
ヒュンッと刀が飛んでくる。
加州「主ーーーーーーーーー!!」
あろうことか刀を投げたのは、一番近侍の加州清光だった。
しかし、先読みの能力が備わっている隼人にとって、そんな不意討ちの攻撃はどうってことない。
ひょいっと、横に体をひねってかわした。
加州「お前……主から離れろ!!」
刀を拾って清光は、主に駆け寄る。
隼人「てめぇら、何なんだよ。」
ギロリと妖怪の一睨み。刀達は、軽く身震いした。
一期「すべて、こんのすけ殿から聞きました。」
一期が口を開く。
薬研「ああ、大将とお前の間に、何があったのか、もな。」
隼人「…へっだから、何だってンだよ!過去を知ったくらいで、こいつの助太刀できると思ってんのかよ?」
ヒュンッと、尾を振り下ろす妖怪。
鶴丸がそれを刀で受け止める。
鶴丸「ああ、なにも知らないよりも、知っていた方が良いだろう。」
鶴丸はにやりと、笑った。
隼人「そんなのは無意味だな。」
鶴丸「なに…?」
キンッと刀と尾は弾き合い、互いに離れる鶴丸と隼人。
隼人「馬鹿かてめーら!助太刀だ、離れろだ何だ言ってるけど、
こいつは俺がとっくに殺してンだよ!!!!」
しん、と静まる空気。
鶴丸「……な、ん、だって?」
蛍丸「え……」
蛍丸と鶴丸の動揺に、目の前の妖怪は笑った。
隼人「聞こえなかったか!?ならもう一回言ってやるよ
てめーらの主とやらは、もう死んでンだよ!!」
一期「……」
加州「…は、なに、いってんの、お前……」
震えながら清光は、ぐったりと突っ伏した主を抱き上げる。
加州「主……主!!しっかりして!!」
清光がゆさゆさと、揺らすと薬研がそれを制止した。
そして、薬研はAの胸に耳を押し当てた。
薬研「………。」
薬研「………。」
薬研「−−−−−−−−−っ!!」
一瞬にして…クールだった薬研は、顔をくしゃくしゃに歪めた。
加州「……ちょっと、嘘でしょ……」
薬研「……聞こえねぇ………!」
薬研「心臓が、鼓動の音が………」
薬研「聞こえねぇ………!!」
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2016年8月25日 22時