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四十話 過去編5 ページ45

バキバキ!!



ドカ、ドカッ!!
大きな音をたてて、自分達の木でできている玄関は、何者かによって破壊されていった。




隼人「玄関が……っ!」


弟が納戸の隙間からのぞくと、砂煙や、埃に包まれた数人の大きな男達がのしのしと玄関へ入ってくるのを見た。



目を凝らしてよく見ると……それは、人里の村人達だった。


隼人「…?な、何…?」



よく見ると、手には農耕に使うようなクワ、斧や鉈、物騒な物を抱えている。


どうやら、村人達が玄関を壊して入ってきたようだった。



「……この家に何用でしょうか。」



隼人「!ね、姉ちゃん……!」


数人の村人の男達を前に、姉は顔をしかめて向かい合った。



しかし村人達は、青白い顔をしていて、何やらぶつぶつと呟いているだけだった。



『……お前のせいだ』









「…は?」






『村は飢餓で皆死んでいった……』



『この妖怪が、災厄をもたらした……』

『こいつは、やはり妖怪だった。』






『ころす』






『ころす』





隼人「……なっ……」

弟は口をおさえた。



村人達の口から吐かれたのは、黒くて…とても汚い恨み言。



どうやら、村人達が顔が青白く、やせこけているのは、不作のせいのようだった…。



だが、人間は弱い生き物で、自分が辛い逆境に立たされた時……


誰かに、責任を押し付け、八つ当たりをしなければ気がすまないのだ。



弱い物いじめをするのと同じ。

姉は何も関係ない。姉のせいではない。



「…それは、申し訳ない事をしました。」


隼人「!?」



涼しい顔をした姉は、目を伏せて口をあけた。
それを聞いた瞬間、弟は目を見開いた。


姉が、謝った…?





「私達が気に入らないのなら、ここから去ります。なので、どうか……今はお引き取りしてください。」



姉は、床に頭をペタンとくっつけた。

隼人「………な、な…」


なに、してるんだよ、姉ちゃん……!!
姉ちゃんは、何も関係ないのに

どうして…頭を下げているんだよ……!!







『ゆるさない』



隼人「……え」



次の言葉の瞬間−−−−−









−−−−ザシュッ!!






何かを切り捨てる音が響いた。




隼人「……な、に」





弟は、涙を流したまま、固まった。





玄関の床の土に、赤い液体が飛び散る。






なにが起きた?





そして、弟は絶句した。









自分の姉が、赤く染まりながら倒れていったのだ−−

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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2016年8月25日 22時

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