審神者は人喰い妖怪【刀剣乱舞】 (ページ26)

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二十四話妖怪の本能ページ26

私は、何とか食堂に座り、味気のない鉛のような食事を眺めていた。

光忠「さあ、主もいっぱい食べてね！」

蛍丸「美味しそう…」

愛染「いただきまーす！！」

……そうだ、忘れてた。

私が人肉じゃないと空腹を満たせないこと、加州以外に言ってなかった。

「………。」

小夜「主…、食べないの？」

私の横にいた小夜は、心配そうに私の顔を覗いた。

いいなぁ、皆…味が解って。

私にはわからないから、ただの土を食っている感覚の私には、今、ここにいる人型に近い皆が美味しそうに見える。

お腹すいた。

食べたいなぁ。

妖怪としての本能が、とまらない。

ああ、その白い肌に、足に、手にかぶりつけたらどんなに幸せだろうか。

食べたいなぁ。
食べたいなぁ。

小夜「あ、主……？」

加州「主、ストップ！！！！」

「！！(ビクッ)」

私は、大きな清光の声に反応してハッと意識を取り戻した。

周りの刀剣達が、私に驚きの視線を送っていた。

ポタリと、私の目の前の小夜に雫が滴る。

どこから、この雫が……？

私は、恐る恐る自分の顎に手を這わせた。

よだれ…だ、私の…。

しかも、牙も生えてる。
黒目も不規則に縦になったり、元に戻ったり…。

食器に映る自分の顔は、まさに妖怪。

「わ、わたし、いま、食べようとした…？」

小夜を？私の大切な刀を？

そんな……。

「ご、ごめん。部屋に戻る…ね。」

加州「主！！」

私は、すぐさま食堂からかけ離れ、
涙をこぼしながら走り抜けた。

「私は、私は、何てことを……！！」

人間に憧れたって、結局妖怪なのだと私は思い知らされた。

私が部屋に戻ると、こんのすけが座っていた。

「こ、こんのすけ…さ…ん。」

こん「A様、すいません。立地の問題で墓場を用意してあげられなくて。そのため、空腹だったでしょう。」

「……。」

こん「代わりといってはなんですが、これを…」

こんのすけは、大きな布でくるまれた何かを私に差し出した。

私は、恐る恐る布を開けてみると…

「……人間の、死体…！？」

こん「はい。自ら死した者の遺体です。」