十六話 感謝を主に ページ18
私がガラリと広間の扉を開けると、既に刀剣達が座っていた。
そして視線が私につきささった。
「う…視線が怖い…」
加州「主、大丈夫?」
私は気まずそうに端の席に座った。
うう、まだ皆見てる(汗)
一つ一つの動きを見られてるみたい…
「えー、こほん。
皆、もう聞いているかもしれないけど、私がここの主になります。」
「でも言っとかなきゃいけない事がある。」
私は瞳を閉じて、深く息を吸った。
「私は妖怪です。」
「人を食べる妖怪です。」
周りから声が漏れたのを私は感じとった
もう一度開かれた私の瞳が、
黒目が細い縦すじのように、ギョロりと伸びる。
牙も鋭く尖り、チラチラと唇から覗いていた。
「…私は、人を殺したくなかった。私は人間に憧れているから、絶対に他の妖怪みたいに人を殺すなんてこと、したくなかった……」
「でも、私はここの審神者を殺した……。私には、私には……、」
加州「主……?」
不自然に呼吸が早くなる。
額には、汗が滴る。
なんでこんなに苦しいんだろう。
「わた、私に、誰かを守る権利なんて、
主になる資格なんて………」
−姉ちゃんなんて大嫌いだ!!!−−−−−
小夜「A…。」
「ハッ…!!!」
頭の声と重なって、気づいたら小夜が私の手を取っていた。
「さ、よ…。」
小夜「……僕は、Aが主になってくれて、本当に嬉しい。それに、あの時僕を助けてくれた……」
江雪「…私からも、お礼を言わせてください……。」
すっ、と江雪と宗三が私の前まで座った。
宗三「…あなたのこと、少しは見直しました。」
「君本当に上から目線だな!(汗)」
江雪「宗三……新しい主に失礼ですよ。
お小夜を助けてくれてありがとうございます……」
宗三「……お小夜が無事で、何よりですからね。
…ありがとうございます」
深々と頭を下げた二人。
「二人とも……。」
一期「私からもお礼を言わせてください。主殿。」
「い、一期一振…。」
今度は一期が私の前に正座した。
一期「乱と五虎退を守っていただき、本当にありがとうございます。このお礼をどう表せば良いやら……」
「い、いいよいいよ。そんなの、いらないよ!」
加州「主。これでも皆に歓迎されてないって言える?」
「……ううん。」
私には笑顔が浮かんだ。
そっか。大事なのは、今なのか。
今このたくさん笑顔を、守れば良い。
「…主として頑張るので、よろしくお願いします!」
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作者名:雪ん娘☆ミ | 作成日時:2016年8月25日 22時