事勿れ主義【イルミ】 (ページ10)

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電車の揺れは揺りかごと同じ運動らしい。
心地いい揺れが私を包み込んでいる。
ゆっくりと目を開いていく。
柔らかい光が私を向かい入れてくれる。
「起きたか？」
猫目の銀髪少年の顔が光を遮る。
「キルア…？」
まってまって、１回落ち着こう。
ぼんやりした頭が一気に冴え渡る。
どうやら私はキルアにお姫様抱っこをされているらしい。
混乱している私に「やっと起きたか！」とレオリオが声をかけてくる。
「まって、今どういう状況？とりあえず降ろして？」
地面に立ち、辺りを見渡すとさっきとはうって変わり木がなく、少し左側に崖がある。
どうやら高いところに来たらしい。
巨大な鳥が頭上を舞っている。
「とりあえず、ほい。お前の分」
「え、何、卵？」
片手にすっぽり入る白い卵。
「そ、二次試験がその卵をとってこいってやつでさ」
「あ、うん。ありがと」
キルアは私を無理矢理ハンター試験に連れてきたことに少し罪悪感に苛まれているのか少しよそよそしい。
ここはお姉さん且つ被害者の私がフォローをするべきかと思い口を開こうとした途端「反則じゃねーの！！」と男の怒鳴り声が響く。
この声が引き金となり、次々に批判が湧き上がる。
どうやら私の卵をキルアを持ってきたことが気に食わないらしい。
確かに不公平だとは思うがここで脱落しても帰れるかって言われれば出来ないし、自力で合格もできない。
自分の中で合理化を進めている間に批判が罵声と変わっていく。
私は人に特別好かれたい訳ではないけれど、嫌われたくもない。
下を向きぐっと涙をこらえる。
仕方ないじゃない。
「黙りなさい！！！！」
大きな声が場に広まる。
メンチだ。
「ほほっ、まぁ気持ちはわかる。じゃがなぁ…」
ネテロが顎をさすりながらメンチの後に続ける。
「人望や運も実力のうち、ってことよな」
ネテロは私に目配せをした後、ヒソカとイルミ、いや、ギタラクルに視線を向けた。
2人とも卵を2つ持っていた。