事勿れ主義【イルミ】 (ページ24)

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71 ヒソカside ページ24

イルミはAが関わると一気にポンコツになる。
そのポンコツ具合は下手なテレビ番組より面白い。
今だってそう。受験者が来る度にAじゃないかと期待しては虚しく散っている。
本当に面白い☆
そんなイルミの反応がクセになり、それを見るためにボクはAにちょっかいをかけに行っていた。
Aには呆れられていたけど☆
｢ちょっと落ち着いたらどうだい？☆｣
そうイルミに伝えてみるけど彼の気持ちも分かる。
あんな平和ボケがハンター試験で単独行動。
もう彼女の命はこの世に存在していないだろうね☆
そんなこと言ったらイルミと戦う羽目になる。
それもいいかもしれないけど、ボクのトレンドはゴンなんだ☆
死亡していることが確定したら慰めてあげようかな☆
そんなことを考えている間にもイルミはずっとソワソワしている。
まさかここまでイルミが彼女に惚れているなんて思いもしなかった。
本人は自覚していないけど☆
友達の新たな一面を見つけてくれたAには感謝しなくちゃいけないなぁ☆
ボクの前であぐらをかいているイルミから｢俺があの時…もう少し早く…｣というオーラが出ている。
ボク以外の受験者は気づいていないけど。
イルミは生まれてからずっと暗殺者として育てられたから、彼のちょっとした変化なんて余程の実力者じゃないと気が付かないだろう。
そういえば、一度、Aに会いに行ったら彼女がクッキーを焼いていたことがあった。
｢美味しそうだね☆一口頂いても？☆｣
ボクの突然の訪問に慣れた彼女は驚くことなく
｢イルミへの差し入れ。もちろん宜しくてよ｣
とボクに1枚渡してくれた。
｢彼、クッキー好きなのかい？｣
｢好きなんじゃない？よく買ってきてくれるし｣
｢美味しい？｣と尋ねてくる彼女に｢美味しいよ｣と返事すると、彼女は目を少し細めて｢よかった｣と言う。
そんなやり取りの後にイルミがAの部屋を訪ねてきた。
｢…なんでお前がいるんだよ｣
｢先に挨拶じゃないかい？☆｣
じろりと僕を睨むイルミ。
｢おかえり。クッキーあるよ｣
Aはいつの間にかクッキーを白い無地の皿に移し、紅茶を用意していた。
｢ありがとう。疲れてて、甘いものが食べたいって思ってた｣
イルミはボクのことを軽く無視して、ちょっと上機嫌になりながら彼女の元へ足を進める。
思い出した。
Aはイルミの変化に気づける人間だったね☆
前言撤回、Aは生きている。
生きて、もっとボクを楽しましてくれよ☆