事勿れ主義【イルミ】 (ページ21)

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69 イルミside ページ21

間に合わなかった！！
あとコンマ1秒早く手を伸ばしていたら！！
慌てて彼女のあとを追うよう為に近くの床を踏み、地下へ進む。
進んだ先に彼女はいない。
近くの仕掛けだと同じ部屋に繋がり、合同チームになるかもしれないと少し期待していたが、どうやら違ったらしい。
もう後戻りすることは出来ない。
目の前の扉を開いた瞬間、俺の顔面を狙うようにナイフが向かってくる。
顔を少し傾けて命中を避け、すぐさまナイフを掴み投げ返す。
グサッという音と男の呻き声が聞こえてくる。
音の方に進んでいったら予想通り首にナイフが刺さった男が倒れていた。
楽にしてあげよう。
自前の針を脳に刺して息の根を止める。
もう動かなくなった彼に手を合わせる。
｢命を頂いた｣ことへの感謝。
ごめんね、これも仕事なんだ。
そう呟いても、もう彼には伝わらない。
その後も何人もの囚人達が俺を始末しようと襲いかかってきた。
なんてことはない。赤子の手をひねるようなもの。
でもAのことを考える度ゾッとする。
もし彼女がこんな目にあっていたら…？
一度悪い想像をすればそれは止まらない。
心臓がバクバク動き出す。
Aは、Aは無事なのか？
無事であってくれ！！
爆弾のような不安を抱えながら進んでいくと、気づけばゴールに着いていた。
予想はしていたけど彼女の姿はない。
｢やぁ、お疲れ様☆｣
彼女どころか呑気にトランプタワーを作っているヒソカ以外誰もいない。
｢…ありがとう｣
お前じゃないんだよ、という言葉を飲み込み、俺は心のこもっていない礼を伝えた。