私だけに優しくない件について。 (ページ8)

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存在を知る～ジフンside～ページ8

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口から思わずって、こういうことだ。

そう実感したのは昨日の放課後。
さしてしゃべったことがない、想い人に思いを告げてしまった。

一生言うつもりはなかった。
俺と彼女では、生きてる場所が違うと思ったから。

存在を知ったのは、高2の秋。
担任に頼まれた用事を済ませたことを報告するために通りかかった玄関でだ。

「てかさ、Aって調子乗ってね？」

「分かる～あいつ絶対いい気になってるよ」

「だってユナの彼氏横取りしときながら私は興味なんてないけど？って、ありえないから」

「ユナもそう思うよね？」

「えっ、うん…確かに」

よくある、女子の陰口だ。
自分よりも劣ってるやつを見つけては安心し、それを欠点だと言わんばかりに相手をおとしめるような、あることないことを言いふらす。

きっと話題の中心であるAってやつもそうなんだと思う。
だが今回の場合は、Aってやつがすげえやつすぎるがゆえの妬みからくるそれだと思う。

飽きねぇよな、女子って。

そう思い、俺には全く関係の無いことだと通り過ぎようとしていたら、

「やっぱしめようよ、あいつ」

「うん、そこら辺の暇そうなやつ捕まえてさ、お金渡してボコッてもらお」

「ボロボロになったとこ写真撮ってあげたら絶対面白よね？」

「うわ～！！楽しそう！！」

女って生き物はどこまでも陰湿である。
そして、問題解決には手段は選ばない。

物騒な言葉が聞こえてきてさすがにそれは…と思った。というか、あいつら玄関ってこと忘れてねえか？

人としてどうなんだ。
そう思い止めに入ろうと思った時、玄関に向かった足を止める手が、肩に置かれた。

「いいよ、自分のことは自分で片付ける」

目が合った。
生気が感じられない、人をも殺しそうな目と。

玄関でたむろしてた女達をあることない事言って脅かしたと思ったら、大きな音が玄関に響いた。

「同じようなこと他の子のにもしようとか思ってんならやめときな、次見つけたらあんたらのことしめるから」

俺を止めた女が振り下ろした2本の傘は
もう二度と使えないくらいにひん曲がっていた。

これが、チェ·Aの存在を知る
きっかけになった。