禪院家の次期当主は振り回される【呪術廻戦】

七話 ページ7

「乙骨さんに取り憑いているっていう特級呪霊の里香ちゃんの噂を聞きまして、来てみました」

「そうかよ。で、それは誰からの頼まれごとだ？御三家か？」


真希ねぇは僕を訝しむような目で見て、聞いてきた。


「いや、僕の単独ですから！」

「ほんとかね…」


それでも怪しむような目を向けたまま、呪具を振り回している真希ねぇ。
乙骨くんは俯いたまま動かない。


「乙骨のなにを調べにきたんだ？呪術界に問い合わせたらいいだろ」


「パンダさん、そんな楽なことじゃないんです。僕はまだ中学生なので」


「こんぶ」


「うん、久しぶりですね狗巻さん」


そう会話を続けていると、乙骨くんが話しかけてきた。


「Aさんは、里香ちゃんを祓いにきたんですか？」


自らの武器を握りしめている乙骨くんから、びりびりと気迫が伝わってきている。
ぞわりと背筋が凍りつく。これが特級過呪怨霊なのか。


「そうかも…ですね、でも、僕がもしあっち側だったら……貴方ごと消すかもしれませんよ？」


そういった瞬間、何かがぶわりと増した。


『ゅゔだを"』


「待って…！里香ちゃん！！」


直接対峙してしまったことによって、里香ちゃんを呼び出してしまったかもしれない。


『いじめ"るな"』


「虐めてないよ。里香ちゃん落ち着いて」


そう説得しても、治る気配はなく僕に手を伸ばしてくる。3人は口出し無用とでも言うように手を出さない。


「里香ちゃん、僕は憂太くんを虐めてなんかいない」


迫真に迫るかのようにそう言った。すると少し勢いを失い、そのまま引っ込んでしまった。
あのままだったら死んでたかもね、僕。


「ごめん！大丈夫！？」


「謝るな、こいつが不用意に里香を挑発したのが悪い」


「でも……」


「大丈夫、僕が悪かったよ」


真希ねぇがストレートに言ったのに対して、僕は立ち上がった。


「色々とすごい事になってますね、上のご老人たちが面倒がるのもわかります」


ひとりでに納得する。
あれほどの呪霊、親族に呪術師でもいるのか？このままだと確実に死刑は執行される。

こんな興味深いやつ、殺されたくはないな。


「それで！結局どうする事になったんですか？」


「あ、うん…呪いを祓うのは難しいから、解くことにしようって先生に……」


「へぇ……」


「うわ、悪そーな顔」


.


.


拝啓、庵様。


僕はちょっと襲われそうになりました。
それでも僕はくじけません。
まずはちょっと、訓練を見てみようと思います。

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