本丸偵察隊記録ー壱偵察隊、結成ー【薬研藤四郎】 (ページ7)

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　おおよそ八畳の和室。上座の奥の方から総長、そしてその隣に僕。先輩の目の前に審神者さん。そしてその隣に薬研くん、の順番で座る。大倶利伽羅さんは仕事があるらしく、その催しを伝えてからゆっくりとその場を後にした。

　双方ともに座礼を交わした上、改めて総長の方から審神者さんと薬研くんに今回の偵察隊の件についての説明をする。

　一に偵察隊に入るにあたり、審神者さんと薬研くんの主従関係は解消される事。二に薬研くんの雇用主になるに当たり、一時的な例外を除いて彼は僕の命令を聞く義務があるという事。

　三に万が一従者が主に背く。具体的に言うなら下克上のようなものを起こした際、主である僕は上に通告した上で刀解の権利を有する事。また従者の方も先程言った一時的な例外にあった場合は、上に報告した上で審議の元雇用形態を解消できる事。その重さによっては、解雇にまで持っていける力も有しているという。

　ここで男士の方が解雇ではなく刀解、なのには理由があった。余程の事がない限り、男士がそうなるという事は役人どころか政府の上層部であっても対処しきれない事例があったからだそうだ。その上男士は特例を除き、審神者や役人との雇用関係を無しに付喪神の姿を維持する事は不可能である。

　それほど役人の側近に選ばれる男士は、慎重に選ばれているという事でもある。相手は人の形をしているとはいえ、神様なのには変わりない。そもそもそんな事例があった、とは言ってもそれもごくごく一部の話でしかないのだ。