【REBORN!】自由奔放すぎる男装少女の短編集のようです。

匣の中から 下 ページ26

しばらく泣いたあと、彼女は涙を拭いて僕の耳を撫でた。







貴｢悪いな、変なところ見せて。
…もう大丈夫。｣





そう言って笑う彼女は、さっきまでとは違って何かを覚悟したようだ。







僕はそんな彼女の手を舐める。









『もうやめてもいいんだよ。
君は十分頑張ったよ。』








僕がもし人間の言葉を話せたなら、絶対彼女にこう言う。




毎日働いて、修行して、こんなに苦しんで。


でも、褒めてくれる人なんて誰もいない。






だったらもうやめてしまえばいいと思う。









でも彼女はきっと、やめない。


だってこんなに泣くほど想っている大切な人を

彼女がほうっておけるわけがないから。





何度傷ついたって、何度泣いたって、彼女はきっと今みたいに最後には笑うんだ。









…なら、唯一傍にいてあげれる僕ができることは一つしかない。







貴｢お、もうそろそろ炎が切れるか。｣



ウル｢ワン。｣








ご主人の言葉に返事をした途端、僕は炎が切れて匣の中に戻っていく。






完全に戻ったあと、その匣を彼女が手に持つのがわかった。








貴｢…今日はありがとう、ウル。
おやすみなさい。｣









優しい彼女の言葉。
その表情はきっと、出会った時と変わらない笑顔。








そして出会った時と同じように僕も誓う。









どんな時でも貴方を守る、と。









(匣の中から、いつだって貴方を見守るから。
泣きそうな時は傍にいさせて？)

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