兄 ページ24
『…うん、そろそろ離してほしいな』
「離さない」
『相変わらず意固地なんだから…w』
ふわり、と笑う真希を一旦離して目を合わせる。
そして、真希の頬を摘んで両方から引っ張る。
『ん"ー…』
「さて、いつから戻ったか話してもらうぞ」
『いひゃい』
無言で引っ張る力を強くする。
『いひゃい！！！！』
『ギブギブ！！』と暴れる真希の頬を離し、無駄に冷たい自分の手で真希の赤くなった頬を冷やす。
『戻ったのは、剣ちゃんが帰ってくる少し前かな。かなかなとか、ガクが持ってきてくれた物見てたら』
「何見たんです？」
『俺と咎人の3人でUSJ行った時の写真とか、俺の3Dライブ終わりに3人で撮った写真とか』
「薬咎多いな」
『だって、一番遊んでるもん。多くなかったら困る』
そう言う真希は真希の頬を冷やしている僕の手に自分の手を重ねた。
『…夢みたい。甘くて、優しくて、柔らかくて、ずっとここに居たくなる』
「僕が無理矢理連れ出すけど？」
『ふふw逃げられないじゃん』
甘すぎるくらいの声色で、そう言う真希は僕の手に頬を擦り寄せた。
『何よりも、先輩と同期と後輩が大好き。もちろん、俺のリスナーも。…戻っても、良いかな』
「…僕たちは、いつまでも待ってますよ」
そもそも、どれくらい寝たきりだと思ってんだ。
「ちなみに、今いつだかご存知で？」
『…3月の下旬？』
「4月の終わりだよ、アホ」
『あれ、俺が活動休止したのって3月の初めじゃなかったっけ』
「それくらい寝たきりだったんだよ、気づけ」
『ふふw剣ちゃんひどーい』
真希がそう言うと、病室のドアが開いて誰かが真希のことを呼んだ。
「真希〜」
『あ、厄介なのが来た…剣ちゃん、手離して』
小声でそう言われ、手を離す。
すっかり肌色に戻った真希の頬を見て、とりあえず安堵。
『…兄さん、こっち』
「！真希〜！！！会いたかったぞ〜！！」
『うるさい』
「辛辣な真希も好きだぞ」
『黙れブラコン』
「流石に傷ついた」
テンポのいいコントが目の前で繰り広げられ、僕は真希と真希の兄であるらしい人を見比べていた。
目元はそっくりだし、髪色も同じ。
顔立ちの系統は違うけど、どこか同じ感じがする。
『紹介するね、俺の兄さんの悠。で、こっちは俺の親友の剣ちゃん。兄さん、剣ちゃんに手出したら本当に絶交するからね』
「あの時はごめんって」
『許す気はないよ』
満面の笑みで言った真希に、悠さんは嘘泣きをした。
何だこのカオスな状況。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 560人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むぬま - 文才がしゅごい…(語彙力) (9月8日 21時) (
レス) @page47 id: fe180e4a88 (このIDを非表示/違反報告)
(^o^)/(プロフ) - ｱｯ待って好きです付き合うことを前提に結婚してください((え (6月19日 17時) (レス) id: b873b0040b (このIDを非表示/違反報告)
にくた(プロフ) - 更新お疲れ様です あなたの作品が大好きです (2023年4月24日 21時) (レス) @page22 id: 63f4c621b1 (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - ザムザ丁度最近よく聞いてたので歌ってくれて嬉しいですしうああvrtもっと絡んでくれたら私も爆散しますいつも楽しく拝読しております！大好きです！！！！ (2023年4月14日 20時) (レス) @page9 id: 5e815c05a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：病帰-yamiki- | 作成日時：2023年4月9日 10時
