たった一夜の、長い夢 ページ22
目の前のドアを横にスライドさせて、部屋に一歩足を踏み入れる。
空いた窓から入る風で靡くカーテンが、より君を儚く見せた。
「…どうも」
『あ、今日も来てくださったんですね』
頭に包帯を巻き、腕にいくつもの点滴へと繋がる管をつけている君は、俺のことなんて一ミリも覚えちゃいない。
「真希…さんって、シュトーレン好きだっ…でしたよね」
慣れない呼び方と敬語に、内心顔を歪めながら持っていた紙袋を床頭台の上においた。
『覚えててくれたんですか？ありがとうございます！』
俺の知ってる真希じゃないのに、
その顔も
その反応も
嬉しいときにする癖も
全部全部、俺の知ってる真希で。
「今日は何も話題とか無いんですけど、話したいこととかありますか？」
表面上の笑顔を貼り付け、そう聞くと真希は少し考えて、
『俺と剣持くんは、どんな関係でしたか？』
と聞いてきた。
あまりに突然な質問に、息が詰まった。
「なん、でそんなこと聞くんですか？」
こっちは心臓握りつぶされてんのか、って思うくらい苦しいのに
『他の皆さんは俺との関係を教えてくださったので』
って、ケロッというお前が憎たらしくて。
「…ただの知り合いですよ」
本当のことが言えない自分が嫌いだ。
『そうなんですか』
疑いもせず受け入れるお前も嫌いだ。
「じゃあ、僕からも一ついいですか？」
『？はい』
「真希さんは、にじさんじをご存知ですか？」
『はい！面白いですよね、月ノさん！』
今真希が生きている時間は、今じゃない。
"僕たち"がデビューする前の時間。
その事実がどうしようもなく嫌で、溢れかけた涙を無理やり引っ込める。
泣くな剣持刀也、こんなことで。
『…でも、今はたくさんライバーさんが居るんですよね』
「えっ？」
『俺と会ってくれてる、剣持くんを含めた8人。皆さん、ライバーさんなんですよね。そして、俺も』
強い光を湛えた瞳に、頷くしかなかった。
二次元みたいには、戻らないよな。なんて、少し期待してた自分を自分で嘲笑って真希と目を合わせた。
『ねぇ、教えてよ。俺が何してたのか』
「…ええ、いくらでも教えてあげますよ」
だから、早く戻ってきて。
「僕たちが初めて会ったとき…」
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むぬま - 文才がしゅごい…(語彙力) (9月8日 21時) (
レス) @page47 id: fe180e4a88 (このIDを非表示/違反報告)
(^o^)/(プロフ) - ｱｯ待って好きです付き合うことを前提に結婚してください((え (6月19日 17時) (レス) id: b873b0040b (このIDを非表示/違反報告)
にくた(プロフ) - 更新お疲れ様です あなたの作品が大好きです (2023年4月24日 21時) (レス) @page22 id: 63f4c621b1 (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - ザムザ丁度最近よく聞いてたので歌ってくれて嬉しいですしうああvrtもっと絡んでくれたら私も爆散しますいつも楽しく拝読しております！大好きです！！！！ (2023年4月14日 20時) (レス) @page9 id: 5e815c05a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：病帰-yamiki- | 作成日時：2023年4月9日 10時
