8話 ページ9
side you
振り返ると、兄さんが入り口に立っていた。
珍しい奴が来たもんやわ。と苦笑する。
ni「うちのが世話になったわ。」
店「気にせぇへんよ。仲良うしいや。」
『それは余計なお世話や。』
俺は、また来るわ。と言ってそこを出た。
それと同時に俺の右手から紙袋が消える。
横を見れば、何食わぬ顔で紙袋を持ち、俺の横を歩く兄さん。
『…ありがとぉな』
そう言って微笑み、兄さんの少し前を歩く。
ni「買い過ぎやアホ、またトントンに怒られるやろ。」
『そこまで怖ないからなぁ。お前ら、俺に甘すぎんねん。』
ni「何や、後輩を可愛がったらアカンのか?」
と言う兄さんに俺は真顔で
『ちゃうねん、可愛がるなとは言っとらん。…いや、だったらお前は初期メンバー以外全員可愛がっとるやろ。』
と返すと、「A以外の後輩とか興味ないわ。」と言う。
何やねん、コイツ。
屋敷が見え始めたところで、俺は違和感に気付く。
『あいつらどうしたんや?』
下の奴らが屋敷の門の前に立っていた。
何かあったんだろうか。
ni「!裏から入るで。お前があっこに行ったらアカン。」
『お、おう…?』
俺は兄さんに手を引かれるまま、裏にある門に行った。
裏門は組の中でも、俺ら幹部しか知らない門だ。
絶対に、俺らにしか分からないようになっている。
ni「俺の後ろに居るんやぞ。」
『わーってる』
門を開けると、ギィ、と少し不愉快な音が鳴る。
そろそろ変えたい。
入っても、特に変わりない屋敷だった。
ただ、
『…なるほどな。』
ぐしゃぐしゃになっている庭木を見て、俺と兄さんは納得した。
「『内ゲバやな』」
俺は自分の部屋から上がり、買ってきたものをしまったあと、自分の部屋の庭に変化がないか見る。
この辺は特に変化なく、いつも通り鹿威しがいい音をたてた。
ni「あいつら説教受けとったわ。」
といつの間にか俺の横に立っていた兄さんを一瞥し、口を開く。
『そか。なぁ、兄さん。』
ni「何や。」
一度口を引き結び、腹を括って口を開いた。
『俺、ここに居たらアカン気ぃすんねん。』
ni「…おん」
『やから、出ていこうと思うねん。』
二人しかいない静かな庭にそよ風が吹き、俺の兄さんの間を通り過ぎていった。
ni「…俺は反対や。Aが居なくなったら、ここはどうなるか分からん。俺は、Aが居てこその組やと思っとる。…絶対に、離さんからな。」
俺の手と兄さんの手が触れ合う。
兄さんの手が、俺の手と指を絡めた。
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かれーるぅ。 - 神作品をありがとうございます!!!!(初コメですすいません)番外編とかないですか!?病帰様! (7月30日 6時) (レス) @page25 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
澪夜(プロフ) - 三日月さん» 結婚…。それができる歳になっていたら考えましょうかね。作品を見てくださりありがとうございます。頑張ります (2022年5月1日 19時) (レス) id: 18b1647a7b (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - あっ、、、好きです!結婚してくださ(((((バカヤロウ 更新頑張ってください! (2022年5月1日 19時) (レス) @page17 id: 918b15eb68 (このIDを非表示/違反報告)
澪夜(プロフ) - ちーずたわーさん» 作者なので異論は俺が認めます。俺は、天才ではなく天災です。更新頑張ります (2022年3月19日 9時) (レス) id: 18b1647a7b (このIDを非表示/違反報告)
ちーずたわー - ..........天才ですか?天才だわ。天才ですね。←異論は認めません←調子乗りましたすみません。更新頑張って下さいm(_ _)m (2022年3月19日 0時) (レス) @page4 id: be110f4d7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2022年3月18日 5時