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靴の緩んだ紐を締め直して履き、ドアに手を掛ける。
「兄様早い!!私支度が終わってすらないんですけど!!」
『前日から準備しないハヤトが悪いだろ…。先行ってるから早く来いよ』
軽くドアを押して、真っ白な光が降り注ぐ外へと脚を踏み出す。
相も変わらずハヤトは晴れ男だな。と思いながら眩しすぎる日光に手を翳して遮った。
普段より緩く結んだ髪が歩く度に左右に揺れ、少し邪魔だがそれも仕方がない。
『8:14…。ったく、ハヤト!』
「はい、今すぐ行きます!!」
荷物を持ってくるハヤトの手から荷物を取り、エレベーターまで歩く。
「兄様、鍵ちゃんと持ちましたー!?」
『持った!』
下へ向かうボタンを押し、待っていればハヤトが来るよりも先にエレベーターが来た。
「っとと。もう…兄様は本当に容赦ないんですから」
割と余裕そうに乗り込んできたハヤトはそう言ってスマホを取り出す。
「ふふ。兄様の普段とは違う服装が見れて俺は満足です」
カシャリ、とスマホのカメラで俺の写真を撮るハヤトは本当に幸せそうな顔をしていた。
だらしない顔を正すために、ハヤトの頰をつねれば「兄様…?」と言われる。
どうやら、ハヤトは頰をつねられた程度では幼児のような言葉遣いにならないらしい。
『にしても、にじさんじと関わってから外泊する回数が異常に増えたな』
「これはインダストリアルの方のも入ってますから。仕事と観光、別々の日にしましょうね」
『ちなみに予定は?』
「最初の2日間は仕事をして、後の3日は観光です」
『普通逆だよ』
「最初の3日間で観光で、後の2日間で仕事…!?」
『日数が逆なんだよ。なんで絶対セットなんだよ』
「だって、会社訪問して軽く挨拶回りするだけですし」
『…頑張れば1日で終われそうだな』
「そこは兄様のドライブテクニックによりけりです」
エレベーターを降りて、エントランスを出て、車の鍵を開ける。
トランクにハヤトの荷物を入れ、閉めればあとは出発するだけ。
『シートベルトはちゃんと締めとけよ』
「分かってますよ」
シートベルトを締めて、エンジンを掛ける。
『さ、行くぞ』
「今回は何が起こるんでしょうね」
『行き先にライバー全員集合…とか?』
「考えるだけで地獄なこと考えますね、兄様」
アクセルを踏んで車を動かす。
緩く進んでいき、見慣れた家の駐車場を出た。
「まぁ、何事も楽しんでいきましょう」
『そうだな』
ハヤトが居るなら、俺は何処にいても楽しいけどな。
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時