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『ここか?』
兄様はある一軒家の前に車を止め、表札を確認してからそう言った。
「そうです、有難う御座いました」
『ん』
軽くお辞儀をする剣持さんに、兄様は手を振って応える。
それに対して甲斐田さんが「アイドル…?」と返すと、ドアは閉まっていて聞こえないはずなのに剣持さんが振り向いて甲斐田さんを睨んだ。
「媚びセンサー強すぎません?」
「今のは怖すぎる…」
そんな私達の会話は気にせず『晴、お前の家は?』と聞く兄様に甲斐田さんは「あの…ここまで来といて何ですけど、こんな事してもらって大丈夫ですか?あ、社長からすると大丈夫じゃないのは知ってるので言わなくて大丈夫です」と返してきた。
『普段ハヤトが世話になってる分な。むしろ、これだけならまだ余るくらいだ』
「ちょっと、私がお世話されてるみたいな言い方辞めて下さい!私がお世話してるんです!!」
『はいはい。で、家は』
「すぐそこの曲がり角を右に行って、そのまま真っすぐの、3つ目の信号で右です…」
半泣きしながら家への道のりを教える甲斐田さんに苦笑しながら兄様は車のアクセルを踏んだ。
「お団子大切に食べます」
『いや普通に食べてくれ』
「そもそも大切に食べるってなんだ」
緩く会話していると、兄様は『あ』と呟いて急に左に曲がった。
「え、兄様?どうしたんですか?」
「いやあの、僕は良いんですけど…」
『この辺、見たことあるなって思ったら最近出来たパティスリーあるとこだったからつい…』
その返答に私と甲斐田さんはぽかんとしたあと、顔を見合わせて微笑んだ。
「あのパティスリーこの辺なんですね。兄様、目星は付けてますか?」
「通る度に入るの無理だけど美味しそうだなぁって思ってたあのオシャレなとこですよね、たぶん」
甲斐田さんにも見られたけど、兄様が顔赤くしてていつもの100倍可愛いから許そう。
『駐車場ここか…』
流れるように入っていく兄様のハンドル捌きに拍手しつつ、停車するのを待つ。
『晴も来るか?来ないなら俺達が買ってくるけど』
「い、行きます!!」
「兄様、さっきのお団子屋さんでは兄様しかお金を出してないので今回は私が出しますよ!」
『いやいい。晴の買ってやれ』
「甲斐田さんは自分で買いますよ」
「扱いの差!!」
そう言いながらお店の方へ歩いていく。
パティスリーは女性ばかりで甲斐田さんは萎縮していたが、スイーツに目がない兄様と兄様のせい(お陰)で慣れた私は普通にしていた。
【切り抜き】初詣で奇跡的にROF-MAO(+お兄様)が揃い、お兄様の車にROF-MAOで乗った話【2j3j】→←.
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時