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「いや何で貴方達も車乗ってる上に兄様にお団子買ってもらってるんですか」
初詣帰りの車の中が想像上に騒がしく、イライラしながらそう聞くと「え?楽したいのとお兄さんにねだった」と不破さんに返された。
「右に同じ」
「前に同じ」
剣持さんも甲斐田さんもそうらしい。
次の収録でどうしてやろうか、この3人。
兄様は召使いじゃないんですけど。
『まぁ、良いんじゃねぇの。寧ろこんな寒空の下徒歩で帰って体調崩されるほうが収録に支障が出るだろ。あと団子は普通に美味かったから、食わないと損だと思っただけ』
1人1人の家を回っていくつもりなのか、いつもとは違う道にハンドルを切る兄様。
「あ、俺んちここを左っす」
『左な』
不破さんの割とギリギリな方法指示にも対応しているのを見ると、何とも言えないが兄様のハイスペックさを理解する。
「お兄さんは車運転できるんですね」
『まぁな』
「というか、お兄さんが居るから社長が車運転しないんじゃないんですか?」
「そうですね。早帰りの時は兄様が車を回してくれるので。なんなら収録終わった後とかも来てくれますね」
「お兄さん強すぎない?」
「ずるーい」と言う3人に「若さを考えなさい、若さを」と返した。
それに対し「いかずちゴリラがなんか言ってますよ」と
もちろん黙った。
「あ、あそこっす。あのマンション」
『ん、あそこな』
そんな会話を意識に入れていないかのように2人は喋る。
高そうなマンションのエントランス前に車を止め、不破さん側のドアを開けた。
「お兄さんほんま有難うございました〜。じゃ、甲斐田ともちさん気ぃつけてな〜」
そう言いながらマンションの中に入っていく不破さんに手を振る。
『晴、湊座ってたところ座れ。出にくいだろ』
「あ、は〜い」
後ろに座っていた甲斐田さんが前に座り直し、シートベルトを締めたところで車を発進させる兄様に、次は剣持さんが「ここを真っ直ぐ行って、6つ目の信号左です」と言った。
「ところで質問なんですけど」
ふとした瞬間に、剣持さんがそう切り出した。
「お兄さんって何で家事だけ出来ないんですか?」
『執事に任せっきりだったから』
「むしろ執事に任せっきりだったのに家事だけしか出来ないこと無いんですね…」
『そうとも言うな』
赤信号を止まりながら、兄様は軽く自分の髪を手で梳いていた。
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時