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「に、い、さ、ま」

目の前で涼しげな顔でコーヒーを啜る兄様に、自分でも分かるほどの(圧しかない)笑顔を向ける。

兄様の眼中に私は居らず、あるのは文字の羅列のみ。

「兄様、兄様ってば」

しまった、兄様がニュースアプリに取られた!と自分の不覚に焦っていると、兄様はコーヒーカップをコースターの上に置いてコースターをずらして私の前に置いた。

「…」

呆然としながら兄様を見ていると、流石に落ち着かないのか『飲みたかったんじゃないのか?』と困ったような顔で聞いてきた。
その顔に固まると同時に、勘違い兄様可愛い…。と悶える。
両手で顔を覆い、絶対にニヤけているであろう顔を隠す。

駄目だ、兄様は天然で人を潰しに掛かる。(尚、私には癒やしでしか無い)

コーヒーはちゃんと飲んだ。
兄様のコーヒーは苦いから冷静になりやすいからありがたい。

「いやそれより!なんでROF-MAOの出演オファー受けちゃうんですか!」

『楽しそうだった』

「ですよね!!!」

一頻り企画の説明を受けた後、快諾(割と本気で楽しそうな顔してた)した兄様にそう言うと、兄様はタブレットの電源を落として椅子から立ち上がった。

『理由はそれだけで良いだろ。人間楽しんだもん勝ちだからな』

コーヒーのポット片手に戻ってきて、カップに再度注ぐ。
シュガーポットから1つ、2つ、3つ…と角砂糖をコーヒーの中に落とした兄様はシュガーポットを持ち上げた。

『ん、無くなったな』

「兄様、コーヒーに入れる砂糖は少ないのに飲む回数多いから消費激しいですよね」

確か、一週間前に入れたと思うんですけど。

『ブラックで飲めなくはないんだが…』

ポットをキッチンに置き、戸棚から角砂糖を取り出す兄様の様子を見ながら兄様が淹れたコーヒーを飲んだ。
慣れた味より甘い味に眉を顰めつつ、カップをコースターに置く。

『ん、コーヒー豆も無くなりそうだな』

「それならこの前買いましたよ」

『そうか。ありがとう』

シュガーポットに砂糖を入れ終わったらしい兄様は砂糖を戸棚に戻し、こっちに戻ってきた。

『…甘』

「いつも入れてる量の3倍ですからね」

眉間にシワを寄せながら飲む兄様に笑うと睨まれましたけど、私には通用しませんよ。

『まぁでも、俺は過干渉しないつもりだ。活動中、俺達は一旦兄弟という関係を捨てなければ行けない。活動者として弁えてはいる』

コーヒーを啜りつつそう言う兄様は、普段より気難しそうな顔をしていた。

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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時

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