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『…まだ会ってないライバー居るとか本気か?しかも、そもそもにじフェスに出てないライバーも居るって…。どうなってんだ、にじさんじ』
そう言いながら、椅子に座ってホテルの天井を仰ぐ兄さんにペットボトルの水を渡す。
人と話すことがあまり好きではない兄さんが「あ、お兄さん」や「お兄様だ!!」と言われる度に話しかけられ、対応しているのを見ていた為、とても疲れているのが分かる。
「あと会ってないのはENの方々と、ガーデンステージに出る方々ですかね」
『はぁ…多い…』
「ははwどうします?ここで休んでますか?」
『あぁ、そうする』
「分かりました。私はちょっと出ますけど、兄さんは出ないようにしてくださいね」
そうやって別れたのが、運の尽きだったのかもしれない。
部屋に戻って来た時、そこに兄さんの姿はなかった。
代わりに
[社長、お兄さん攫われてるけど大丈夫!?]
といういろんな方からのメールが来ていた。
一方その頃。
『…近くで見ると、迫力すごいな。叶の格好してるから…カナエダヨーか?』
そう聞くと首を振り、喋れない事に負けずに何とかジェスチャーで頑張って名前を教えてくれ、名前がカナダヨーであることを理解した。
『…ってか、何で俺攫われてんだ』
ハヤトと別れて数分した頃、突然部屋に入ってきた奴に襲われ、気付けばここである。
『それに、ローブに見せかけた着る毛布で視界遮られててよく見えないし…』
いやまぁ、寒さ対策のようなものなんだろうけど、コイツのせいで雰囲気がまったくねぇ…。
『カナダヨーは寒くないか?』
そう聞くと、頷くカナダヨーに軽く笑いながら座った姿勢をキープする。
『…誰がやったか知らんが命の保証は出来ないな』
ハヤトが何しでかすか分からない。
それこそ、成長する事に俺への愛が強くなってるハヤトだから変わらない。
仕事以外で俺達が離れることは殆ど無い。
だからこそ、分からない。
『まぁ、いざというときは俺が出るか』
暴走したハヤトを止められるのは、たぶん俺しか居ないからな。
『…耐えてくれ』
頼むからこの催しを失敗させるようなことはしないで欲しい。
『ふぁ…俺は少し寝るが、大丈夫か?』
そう聞くと、カナダヨーは頷いてこっちに寄る。
少し俺の後ろに来て、短い手で俺が倒れないように支えてくれるらしい。
『ん?あ、ありがとう…?…あと、おやすみ』と返しながら目を閉じた。
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時