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.(少し注意) ページ27

「兄様、キスしませんか」

『しない』

即答で返された否定を却下する言葉に体重を掛けるが、びくともしない兄様。

「何で駄目なんですか」

『気分じゃない』

「そういう気分にさせればいいってことですか?」

『俺だけの部屋をいい事に社内でしようとするな』

そう言いながら兄様は仕事を続けた。
私を気にすることなく、てきぱきと1つ1つ片付けていく。

「兄様が足りないんです!!キスしてくれないとやる気出ません…」

『知らん』

たった3文字で一蹴された私のお願いは、兄様を自ら働かせるには弱すぎるらしい。
だが、私は諦めずに横から抱きつくような位置に移動し、軽く息を吸う。

「…兄様」

がたっと音を立てて、勢いよく兄様が立ち上がった。

「耳弱いの可愛いですね」

『っ、ハヤト!』

「そんな蕩けた目で怒られたって、何も怖くないですよ」

そう言って兄様の耳を甘噛みすれば、兄様はびくっと肩を揺らした。

「兄様、小さい頃から私の囁き声苦手でしたもんね」

『あ…っ』

がくん、と兄様の体が崩れ落ちる。
兄様を支え、ゆっくり椅子に座らせれば、兄様は私を睨み上げる。

「私の可愛い兄様」

手を伸ばせば兄様から手を絡めてくる。
それを受け入れ、そっと握った。
緩く結ばれた髪に手を伸ばし、髪の束を口元に持っていってキスをする。

「兄様の髪は綺麗ですね。柔らかくて、細くて、艷やかで」

コンコンコンと部屋がノックされ、廊下から兄様の名前が呼ばれる。

あともう少しだったのに、なんて。

手を離そうと体を起こしたところで、兄様に後頭部を引かれる。
口の少し下、顎の当たりに兄様がわざとらしくリップ音を立てた。

『これでいいだろ』

そう言った兄様は先ほどとはうって変わって涼し気な顔で私を離して立ち上がり、ドアへと向かった。
私は顔に熱が集まり、何とも言えない気持ちになっている。

『あぁ、分かった。今週中に算出しておく』

兄様のその声が終わってすぐ後に扉が閉まる音がし、兄様が私に声をかけた。

『俺が折角キスしてやったんだ。その分気張って仕事してこい。しないとぶっ飛ばす』

「段々私の扱いが雑になってません!?いやまぁ、兄様だから良いですけど…」

そう言い終えた時、兄様の鼻にキスをする。

『…よくこういう事を恥ずかしげもなく出来るよな』

「兄様が初心過ぎるだけですよ」

私がキスをする場所によって意味が違うのを知らないと思ってやってます?残念、知ってますよ。
初心な兄様、可愛いですね。

.→←【切り抜き】お兄様のかわいさについて語ったあとお兄様を呼ぶ社長【加賀美兄弟/2j3j】



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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時

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