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「何でまだ3回目の練習なのに出るようになってるんですか…」
綺麗な高音で歌を歌っている兄様を見ながらそう呟く。
周りから見たら、部屋の対角線上で歌を歌う兄様とそんな兄様の歌を若干膨れながら聴いている私、という謎構図になっている。
「私が先生してる意味…」
体育座りをして、自分の膝に肘をついてつまらなさそうに兄様を見ていた。
すると、ある時兄様の声が止まり、イヤホンを外してこっちに歩いてきた。
『ハヤト』
「…何ですか」
『シャウトってどうやる』
「え?」
『シャウト、どうやれば出来んの』
え、いやWITHINのときちゃんとシャウト出来てましたよね。
「し、シャウトですよね…?」
『シャウトって言ってんだろ』
ちょっと、説明難しいなこれ…。
「何て言うんでしょう…」
『一回やれ』
「命令形!?」
いやまぁ、やりますけど…。とぼやき、軽く声を出す。
「やりますよ?」
『頼む』
シャウト…、シャウトかぁ…。と思いながらやれば、兄様も横でやり、輪唱のようになった。
『…何か、違う』
「違う!?」
『ハヤトは良いけど、俺が何か違う』
そう言う兄様は持っていたスマホで調べ始めた。
「ちなみに、何で違うと思ったんですか?」
私の質問に兄様は私を見ずに『俺らしくない』と簡潔に返してきた。
兄様らしさ、と考えたところで1つ思い当たるものが頭に浮かんだ。
「もしかしたら、シャウトする時に地声とだいぶ違っているのかもしれません。最近高い声を出す練習をしたので、それに引っ張られてるのかと」
そう言うと、兄様は画面をスクロールする手を止めて数秒考えた後『それだな』と言った。
「兄様は私より低い声が特徴なので、あまり高い音でシャウトをしようとすると、音程で違うと感じたんですね」
『歌って割とシビアだな』
そう言っ声の調子を整える兄様は、着実に自分の問題点を潰していっていた。
寂しくも嬉しくもあるその様子に、軽く微笑む。
「ちなみに、何故突然シャウトを?」
『何となく』
「何となくかぁ」
そう言いながら兄様に寄り添う。
兄様の耳の形綺麗だな、と思いながら兄様の横顔に目を向けた。
圧倒的造形美がそこにあり、切れ長の目がスマホに映されている文字を目で追っていた。
「兄様、抱き締めて良いですか?」
『勝手にしろ』
「それでは失礼します」
兄様を腕で囲い、強く抱き締める。
あ、兄様少し太った。と思いながら兄様の歌を聴いた。
【切り抜き】お兄様のかわいさについて語ったあとお兄様を呼ぶ社長【加賀美兄弟/2j3j】→←.
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時