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配信者生活何年やっているんですか私は、と思えるようなミスを冒して早1日。
私のミスで全世界に声を知られてしまった実の兄。
ちなみに、兄がネットに疎いお陰でこの騒動は知られていない。
兄さんがネットに疎くて助かった。
まぁ、いつか知られる日は来るんでしょうけど…。
「兄さん」
リビングで仕事をしていた兄さんに声をかければ、兄さんは私を見た。
口数が少なく、あまり喋ってくれない兄さん。
帰ってきた時や配信が終わった時には声を掛けてくれるものの、それ以外は基本的に私から何かしら動いている。
「ちょっと、疲れたので充電させてください」
そう言いながら背中に抱きつく。
びく、と体を揺らすのに笑いながら「大丈夫、今は取って食べたりしませんから」と返す。
なら良い。とも言いたげに仕事を再開する兄さんに笑微笑み、兄さんの肩に顎を乗せて様子を見る。
会社の人事と経理を担当していて、人選の采配と経費は全て兄さんに任せている。
普通は部署があるんだろうが、兄さんがすぐに全てこなしてしまう為、会社には営業部と開発部の2つしか無い。
兄さんは会社の中で居なくてはならない存在だ。
そんな兄さんは文武両道なくせに、何故かスペックは高くない。
家事は苦手で、ネットに疎く、あまり社交性がない。
まぁ、そんな兄さんが居たから補うために私が居るんですけど。
「兄さん、相変わらず仕事は出来ますよね…」
『仕事は、ってなんだ』
「そのままですよ」
この前誰も居ない廊下で何もないのに躓いたの知ってますからね。
「今日の夜は何が良いですか?」
『肉以外』
「何で野菜と魚は食べるんですか…」
何を隠そう私の兄さん_____あ、兄さんの名前はAです。_____は肉が大嫌い。
あ、代替食品であれば食べますよ。
「そんなだからこんなに横幅が薄いんですよ」
『ハヤトも似たようなもんだろ』
「私はしっかり食べてますから!!」
『うるさい』
兄さんは私の手を退けて立ち上がり、キッチンに向かう。
着いていくと兄さんは棚からマグカップを出してポットに入っているまだ湯気が登っているコーヒーを注いだ。
『ハヤトも飲むか?』
「じゃあ頂きます」
そう言うと色違いのマグカップを棚から取り出し、全く同じ量注いだ。
「これ兄さんの特殊能力ですよね」
『…俺はクリーチャーみたいな事はできねぇぞ』
「されたら困ります」
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書籍姫(プロフ) - わぁ...好きです...応援させていただきます!! (11月18日 19時) (レス) id: b249051f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年11月17日 4時