好きなものが34つ ページ35
「あの、この本の通りにやってみてくれませんかっ…!?」
そう言って俺とガクに渡された本。
その本は割と薄めで、俺とガクは目を見合わせた。
「私が作った話なんですけど、その性格とか身長に合うのがお二人しかいなくて…」
『まさか、一番最初にボーイと組まされるとは思わんかったわぁ』
「俺もまさか巻き込まれると思わなかったっす。妬ましく見てるだけだと思ってたから」
『ん?』
「へ?」
本を持ちながら座ることもなく立ち続けている俺とガクを客の人が急かす。
『初っ端から中々だな…』
「っすねぇ…」
そう言いながら座っているガクの膝の上に対面になるように座り、ソファの背もたれにガクを挟む形で両手を置いた。
「うぇ!?」
慌てるガクを他所に、俺は本をそのまま読む。
『駄目だろガク、この程度で驚いてたら』
「あ、え、すいません…?」
もう始まっていることに気付いていない様子に、俺は演技を続けながらガクに耳打ちする。
『ガク、本見ろ』
その言葉にハッとしてガクは手元の本に視線だけを投げた。
「だって、Aさんが…」
『だってじゃない。期待して家に来て悪いか?』
ぱっと見、この人が持ってきた本は所謂お家デートをするカップルの話らしいが、これ雰囲気が…。
「…今ならまだ間に合うっすよ」
『退くつもりは無いけど』
そう言うと、ガクの目が細められた。
待て、これ演技じゃ。
「じゃあ、
『ガク、待っ…』
.
.
『…泣かされた』
「すみません…」
ご満悦な顔で帰っていった客を思い出しながら『もうやりたくねぇ…』とぼやく。
文字通り泣かされた俺は、腰が抜けたままソファから動けなくなっていた。
コンコン、とドアがノックされた。
「ガっくん、Aさん入りますよ?」
「あ"っ、とやさん待っ…」
ガクが言い切る前にドアが開けられた。
トレーを持ち、俺を見る刀也にガクは青い顔をする。
刀也はそんなガクに見向きもせず、俺の方へと向かってきた。
「何をされたらそんな顔になるんですか?」
とネクタイを掴まれ、顔が着きそうなくらい近づけられる。
『言わへん』
「…そうですか。じゃあこの本読めば分かりますかね?」
そう言って刀也が持ち上げたのは俺が落としてそのままにしていた本。
ぺら、とめくり刀也の目が文字を追う。
「…へぇ」
あ、また泣かされる。
そう察せてしまう声の低さだった。
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????(プロフ) - 待ってッッッ⁉︎ njsjライバーだけじゃなくてc|rのstrmさんまで出してくれるんですか、、、‼︎ しかもdrskとか需要ありまくり感謝ですm(_ _)m 最後の翔とのイチャコラてぇてぇもごちです これからも更新楽しみに待ってます(´∀`*) (11月1日 2時) (レス) @page33 id: f2ebaa7bc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病帰-yamiki- | 作成日時:2023年9月28日 19時