1作品目-3 ページ7
『そもそもこんな所に居るわけないか。
そもそも本人自体よく知らないし…。
勘違いしてごめんなさい。
勇蔵さんと見知らぬ人。』
ボソボソと呟いていると、
目の前の人が謎に肩を揺らしてプルプルしていた。
思い出し笑いでもしているんだろうか、
と奇妙に思いながら
ふと、電車の広告に目を向けると、
ちょうどアイドルのデビューアルバムの内容が
載っていた。
『ん…?LIP×LIPって最近のアイドルだったのか。
へぇ…。あ、勇次郎と愛蔵って人か…。
さっき私が言った名前合ってたっけ?
って事はこの人はえーっと、
勇次郎さん似の人、__かな?
…まぁ、いいか。今後関わる事は無いだろうし。』
「ゴホッ」
唐突に目の前の青年が咽せたのでビク、
と肩を揺らす。
目線を戻すと、物凄く睨まれていた。
独り言がうるさ過ぎたのだろう、と自重して黙るも、
その青年はじっとAを見つめていた。
後ろの広告とか駅名表示とかを
見ているだけなんだろうけど、
イケメンと目が合うなんて中々無いよなぁ、
なんて心の中で思いながら、
登校初日から運が良いのでは、
と口元が緩む。
すると、青年が何かに面食らって顔を赤くした。
だが、それに気づかなかったAは、
携帯を開いて学校への道のりを一応確認すると、
強く鞄を握りしめた。
極度の方向音痴の為、早起きしたのだから大丈夫だ、
と自分を落ち着かせる。
駅どこだろうとチラ、と時刻表示を確認すると後2駅ほどだった。
ふぅ、と深呼吸をすると先程から顔を上げていた青年は、
また目を閉じていた。
そのまま安心して駅に着くのを待った。
そして、目的の駅に到着する。
だが、同じ学校らしき制服を着た青年は、
目を覚さなかった。
この人も同じ学校だったら、
起こしてあげた方が良いのかな?
もしかしたら別の行き方が有るのかも…。
悶々と考えていると、人が乗り込んできた。
やばい、閉まってしまう。
そう思って、その青年を急いで起こした。
『あ、あの、同じ学校ですよね?
駅着いたみたいですけど!』
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2021年2月13日 23時