2作品目-21 〔降谷side〕 ページ47
「風見との方が良かったですか?」
『…どうしてそう思うんです?』
彼女は取り繕った様な笑顔で、首を傾げた。
「さぁ。…何となくですかね。」
含みを持った言い方で、笑い返した。
『気の所為ですよ、きっと。あ…でも、少し残念ではありますね。』
「…残念、ですか?」
『風見さんってちょっとドジっぽい所が可愛いじゃないですか。…見てて癒されるんですよね。』
空を眺めて、想いを馳せていた。
その横顔は僕の前では見せた事のない顔だった。
…彼女は、風見が好きなのか?
考えて、少し否定したい気持ちになった。
「それに関しては流石に同意しかねるな。男を…しかも部下を、可愛いと思った事は一回も無いので。」
それにしても、風見は彼女の前でどんな道化を演じているんだ?
無いとは信じたいが…、素でやらかしているんだとしたら、彼女と接するのはあくまで仕事の一環であり、業務に当たる上で緊張感が足りないと譴責する必要があるかもしれないな。
『…まぁ、男の人が男の人を可愛いと思う事なんてほぼ無いですよね。』
「少なくとも風見は無いですね。」
『完全否定ですか…。安室さんとは感性が合わないみたいです。』
そう言って、苦笑する。
「感性なんて十人十色ですよ。」
駐車場までの道すがら、他愛も無い会話を続けた。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2021年2月13日 23時