2作品目-9 ページ35
「___ところで、話を本題に戻しますが、Aさんは別世界の住人で、かつ僕の事情を把握している、という事で合っていますか。」
『はい、その通りです。』
「ですよね。なら、取り敢えず貴方の世話は風見に頼んでおきます。…風見の事も既に知っているんですよね?」
『それは勿論。…よく降谷さんにこき使われてる部下の方ですよね。』
「こき使うって…僕もそこまで酷くはないですよ。偶に手伝ってもらう程度ですから。」
都合の良い様に利用してたと思うんだけどな…。
風見さんも出来る上司の下で働くのは大変だろうなぁ。
黙って見つめていると、その視線に気づいたのか彼が口を開いた。
「…君、今失礼な事考えていないか?」
『え。…あ、いや、そんな事は…。』
唐突な降谷さんの砕けた口調に新鮮味を感じ、反応が遅れる。
「…なら良いですけど。」
彼は何か言いかけて口を閉じ、軽く笑みを浮かべた。
「それと言い忘れてましたが…、気楽に接してくれて良いですからね。」
『それは有難いんですが、…私と降谷さんって歳の差大分離れてますよ。』
「だとしても、…ずっと敬語というのも疲れるでしょう?」
彼は首を傾げて此方を覗いた。
『んー…何というか、降谷さんとは敬語が良いんです。』
「それなら、貴方の好きにすると良い。…では、先程の話を続けさせてもらいますね。身元不明かつ僕の素性をする訳有りな人物を野放しにしておく訳には行かない。だから、貴方には僕の部下の保護下にいてもらいます。」
『…降谷さんの手を煩わせてしまってすみません。』
深々とお辞儀すると、「顔を上げて」と諭された。
「この状況は故意でないだろうし、貴方が気にする必要はない。風見には先程メールで連絡を入れておいたからすぐ来る筈です。…それまで寛いでいて下さい。」
『分かりました。…ありがとうございます。』
御礼の言葉を口にしながら、
寛げるわけないんだよなぁ
…と、苦笑いを浮かべた。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2021年2月13日 23時