2作品目-2 〔降谷side〕 ページ28
『…ふるや、さんの…こえ…。』
彼女の呟く声音は少し低くなっていた。
驚いて、辺りを警戒する。
周囲に人が居ないのを確認し、改めて女性に向き直った。
この女性…僕の事を、知っているのか?
だが、この女性とは会った覚えがない。
僕の事を嗅ぎ回る輩か、或いは…。
一先ず、素性を知る必要がありそうだな。
まだ起きる気配の無い女性を一先ず放置し、音を立てないよう、持ち物を漁る。
リュックにはルーズリーフ、ペンケースや財布など様々な物が入っていた。
学生証があれば大学生で決まりだろう。
だが、成り済ましの可能性もあるから油断は出来ない。
そう思いながら探っていると、定期券の入ったパスケースを発見した。
定期券を抜き取ると、知らない地名が記載されていた。
偽造された定期券か…?
だが、記載事項には漏れがない。
精巧に作られていた。
表記された年齢を見る限り、大学生で合っていたようだな。
…この定期券自体が偽物の可能性が高いから確証は持てないが。
携帯で写真を撮っておき、定期券をパスケースの中に戻す。
その時、パスケースの中に何か別のカードが入っているのに気付いた。
これは、…学生証か。
そこには目の前の女性の顔写真、大学名や学籍番号、住所や生年月日などが記載されていた。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2021年2月13日 23時