2作品目-1 〔降谷side〕 ページ27
「……ッ!」
清々しい朝だというのに、心臓に悪い。
朝のジョギングに出かけようと家を出た僕に待ち受けていたのは、ドア横の壁に寄りかかり顔を俯け脱力している女性だった。
死体かと思い、屈んで耳を攲てると、スゥスゥと寝息が聞こえる。
ホッと胸を撫で下ろし、女性の恰好を改めて観察した。
カジュアルな服装。
ストレートロングの黒髪。
PCが入る程度の大きさのリュックが側に置いてあった。
大学生ぐらいだろうかと、ある程度の目星をつける。
アパートの住民の顔を覚えていた僕は確認の為、女性の顔を覗き込んだ。
綺麗な白い肌に、端正な顔立ち。
此処の住人では無いようだが…、凄い美人だな。
その時、女性がゆっくりと目を開けた。
「…大丈夫ですか?」
とりあえず声をかける。
女性は瞬きを数回繰り返し、二の腕を掴んで身震いをした。
『…っ、あ…ゆめか。』
一言呟いて、再び瞼を閉じる女性。
寝惚けているようだな…。
少し声のボリュームを上げて、改めて声を掛けた。
「此処で寝るのはお勧め出来ませんよ。」
中々微睡みから醒めない女性を見つめながら思案する。
厄介だな。
不用意に触れたくはないし、どうすべきか…。
『んん…やだな、ほんもの…みたい…。』
本物も何も夢では無いからな。
危うくツッコミそうになって女性の状態を再度確認した。
酒の匂いはしないので、酔ってはいないようだ。
再びゴニョゴニョと何か呟いていたが上手く聞き取れない。
距離を詰めると、少しだけ聴き取れるようになった。
だが、偶々拾えた言葉に衝撃を受ける事となる。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2021年2月13日 23時