1作品目-2 ページ12
驚いて立ち上がろうとするも、机に太腿をぶつけ、
痛みに変な声を出して座るに留まった。
『いた…っ!ぁ、いや、わ、悪気は無かったの‼』
「HAHA!君、面白いな!別に怒ったんじゃ無いぞ!
単に気になったから声を掛けたまでさ。」
異国人は人懐っこい爽快な笑みを溢すと、
声を出して笑った。
(うっわぁ…なんて破壊力のある笑みなんだろう。)
『あー、なんていうか、…その〜、いきなり訊くのは
失礼だとは思うんだけど、言いたい事があって…!
き、訊いても良い…かな?』
頭を下げると、異国人は陽気な声で発した。
「Hey, girl. Raise your face! Don't worry‼
俺は大抵のことじゃ気分を悪くしたりしないよ!」
青年の言葉に従って顔を上げると、
先程と何ら変わらない屈託のない笑みを
浮かべる青年がそこに居た。
『じゃあ、お言葉に甘えて…。
__な、名前を教えて欲しいな』
「俺の名前?…そんなことで良いのかい?
アルフレッド=ジョーンズ、だぞ!」
『ジョーンズ、…って言うのね』
「Oh, no!余所余所しいのは嫌いなんだ。
…アルフレッド、って気軽に呼んでくれて
構わないぞ!」
アルフレッドと名乗った青年は、
太陽が照らしたような明るい笑みを溢した。
『アルフレッド…素敵な響きね!』
目を輝かせて、テーブル越しに青年の手を掴む。
角張っていて厚い手の皮は、
苦労人の道を歩んできたのか否か。
「わ、突然何だい⁈」
目を丸くした金髪碧眼の青年が
Aと掴まれた手を交互に見遣った。
『生まれてこの方信じてなかったんだけど、
一目惚れって有るものなんだね。
アルフレッド…私、貴方の事が__』
Aはそこまで言って、遮られてしまった。
大してキツく握っていたわけでもなかったので
解かれた青年の骨張った大きい手に
口を塞がれた為に。
「Sorry, a cute girl.
一目惚れ__は有り難いけど…、
残念ながら俺には愛しい人が居るんだ。」
バツが悪そうに眉を下げて困った顔を浮かべる青年。
Aは渇いた喉を潤すように唾を飲み込んだ。
それを発言の前触れだと察してか
青年はゆっくりとAの口から手を離した。
『…その人に合わせてくれたら、
キッパリ諦めるわ。』
(生憎、諦めは悪い方なのだ。)
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2021年2月13日 23時