【スタレ】『開拓日記』 (ページ10)

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『そうかなぁ…。でも、アベンチュリンは自分の勝ちを確信した上で、賭けに挑むよね?』

突然何を言うのだろう。

そう思って、彼女に視線を遣れば、真横に彼女の顔があった。また随分と距離が縮まっている。

距離を取ろうかとも思ったが、まぁ良いか、と思い直す。彼女と友人付き合いを続けていくなら、この距離感も慣れておいて損はないだろう。

「なら君は自分が負けると信じて賭けを受けたのかい」

ふるふる、と頭を横に振る彼女を一瞥してから、言葉を続ける。

「そう、自分の勝ちを信じずに賭けをする奴なんて居ない。まぁ、賭けの途中で自信を無くす人は多いけどね。僕は、"最後の勝者は僕だ"って確信してる。僕は、僕に＿僕の勝利に、賭けてるんだよ」

不敵に笑えば、彼女は何度か頭を頷かせた。僕の言葉を受け止め咀嚼し、自分の中に落とし込んでいる様だった。

『…なら、やっぱり"勝とう"っていう信念を揺らがすような雑念は持っちゃ駄目な気がする』

真剣な眼差しで、彼女が告げる。

彼女は僕のようにでもなりたいのだろうか。それとも、それほどまでに僕との賭けに勝ちたいのだろうか。

引き下がっていた割に随分と負けず嫌いなんだな、と思わず笑みが溢れた。

「君がそう思うなら別に否定はしない。だけど、勝負の中でどんな力が働くのか、何が起きるのかは、やってみるまで分からない。『雑念』を含めて勝負前には無かった筈の不確定要素が入り込む隙がある…それが賭けの醍醐味だと思うけどね、僕は」