【スタレ】『開拓日記』 (ページ46)

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はぁ、はぁ、と息が上がる。

心臓が＿否、心臓に位置している星核が。全身が、燃える様に熱い。

『私が、護るから』

「……、頼もしいね。けど、限界が近いなら…」

『大丈夫、まだやれる』

もう何度と使った言葉を、口癖のように彼に言う。

始めはお手並み拝見、とでも言う様に楽しそうに戦いを眺めるアベンチュリンだったが、いつしか言葉に詰まるようになっていた。

…それもそのはず。私が、ほとんど全てのヘイトを一身に買い、敵の攻撃を受け、かなり疲弊した状況に陥ってしまっていたのだから。

つまり、笑える状況では＿嗤って済ませられる状況では無くなってしまっていたのである。

次は、攻撃する番か…。

ふらつく足を、なんとか手にしている武器を支えにして立つ。攻撃を終えて元の位置に戻ろうとして、グラリ、と身体が傾いた。

「マイフレンド、もう十分だ」

身体が地面に倒れ伏す事は無かった。

それは、隣にいたアベンチュリンが支えてくれたからに他ならない。

ごめん、と謝りながら、武器を杖代わりに立ちあがろうと試みた。身体の内側で燻(くすぶ)りを感じながら、荒く息を吸っては吐くを繰り返す。

『大丈夫、私が…』

なおもヘイトを買おうと動けば、グ、と後ろに腕を引かれた。

「A」

彼と目が合った。

彼の顔にはいつもの笑顔は無く、余裕さは感じられない。

その異変に気付かぬまま、今にも敵が攻撃を仕掛けてこようという時に何だ、と抗議する為に口を開けようとした。が、伸びてきた彼の人差し指に塞がれてしまう。

アベンチュリンは無言で首を横に振ってから、庇うように私を背に隠した。

「そんなに僕は頼りない＿信用ならないのかな。なら今度は、僕が君に価値を証明する番だ」

それは、いつもの明るい彼の声だった。

さっきの表情は見間違いだったのだろうか＿＿後ろからでは、どんな表情をしているのかもう分からない。

…だが、視界の端、彼の左手が微かに震えているのが見えた。

『……分かっ、た。任せる』

素直に彼を頼れば、張っていた緊張や不安が解けたのか＿何でそんなものが彼に生まれているのかは分からないが＿、微かに彼の吐息が漏れるのが聞こえた。