【スタレ】『開拓日記』 (ページ41)

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「やぁ、マイフレンド。お邪魔させてもらってるよ」

物資を集めに各地を回り、ホッと一息吐こうと自室に戻れば、思いもよらない訪問客がそこに居た。

いくらか見慣れはしたものの目のやり場に困る、いつもの胸元の空いた派手な服を身に纏った、スターピースカンパニー「戦略投資部」の高級幹部であり＿さも当然のようにベッドに腰掛け、手を振る"マイフレンド"の姿が、そこにあった。

『あ、アベンチュリン…ッ!?』

「うん、僕のこと覚えていてくれて嬉しいよ」

アベンチュリンは立ち上がると、人好きのする笑みを浮かべて、言葉を続けた。

「ピノコニーでは色々あったけど、今は＿＿」

彼の存在を認識した瞬間、何を話しているのか聞きもせずに、自然と彼の下へと身体が動いた。

対するアベンチュリンは、突進に近い速さで駆け寄ってきたAに殴られでもするのかと、瞬時に腕でガードをするような形をとって身構えたのだが。

「っと、…どうしたんだい?」

予想に反して、突然抱き締められたため、困惑したまま立ち尽くしてしまった。

「……あの、マイフレンド」

『何』

「これは、どういう…」

『ちょっとジッとしてて』

「えぇ…?」

『黙ってて』

有無を言わせない言葉に、アベンチュリンは小さな溜め息を吐いて、口を閉ざした。

彼の胸元に顔を埋めて、心音を聞く。

トク、トク…と、規則的に奏でられる音。

その旋律は心地が良く、服越しとは言え、彼の温もりも感じられた。

＿＿あぁ、彼は生きているのだ。

安心と喜びで、胸が熱くなる。

暫くそのままでいると、ポンポンと優しく背中が叩かれた。それは、ガードしたまま行き場を無くしていたアベンチュリンの手によるもの。

顔を上げれば、アベンチュリンは揶揄うでもなく、ただ静かに微笑(わら)った。

「気は済んだかい、マイフレンド」

その瞳に光は映っていないが、艶(あで)やかな色合いをしたそれは、優しげに此方を見つめている。

彼の瞳をこんなに間近で見たのはいつぶりだろう、と感慨に浸って見つめ返せば、彼は途端に頬を染め、目を逸らした。