【スタレ】『開拓日記』 (ページ35)

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彼女に連れられてバーに行くと、驚いたことにナイトメア劇団(モンスター)が居た。臨戦態勢を取ろうとして、異変に気付く。

彼らの視界に入ったにも関わらず襲って来る気配が全く無いのだ。そればかりか、隅の方で仲良く談笑しているではないか。

『あ、気になる?あそこに居るのはね、ここのお客さんなんだ』

疲れが頭にまで回ったのかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。彼女曰く『ここのカクテルを飲んでるから、精神が安定している』のだとか。

「へぇ」と、元スウィート・ドリーム劇団(モンスター)が歓談する様を一瞥してから視線を戻せば、先程まで横に居たはずの彼女が居ない。

『アベンチュリン、こっち』

声のする方に向けば、いつの間にか彼女はカウンターに立っていた。促されるまま彼女の前の席に座り、差し出されたメニューを受け取る。

『メニューのものも出せるし、何か要望があれば作ることもできるよ。何が飲みたい?』

「客好みのカクテルを作ってくれる、って事かい?それは有難いね」

オーダーメイドでカクテルを作る技術など、一朝一夕で取得できるようなものでも無いと思うけれど。

彼女の潜在能力の高さには驚かされるな。…ひとまずは、お手並み拝見と行こうか。

「とりあえず、甘過ぎずさっぱりしたモノが飲みたいかな」

『分かった』

暫く経って出てきたのは、スモールサイズのロックグラスに、空と海を模したような、澄んだ水色と青色の2層の液体が入ったモノだった。液面にはミントの葉が飾られており、全体として見た目は悪くない。

じゃあ味は、とグラスを手にして、一口煽る。

「……うん、美味しいね」

甘過ぎず、全く重さを感じさせない、スッと抜ける口当たり。靄が晴れていくような爽快感。思いの外、理想的な飲み物が出され、本心から感想を言ってしまった。食前酒の様な軽さと、量としての少なさから、他のカクテルももう少し飲んでみたい、という気が起こる。

そういえば渡されたメニューがあったな、と思い、開けば、１つ気になるメニューが目に止まった。