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……は?
と、思わず口に出さなかった自分を褒めて欲しい。
突然、何の話だ＿＿と思いながら、彼女がそういう事を聞く一番の原因を考えてみる。
「…そういう依頼でも受けたのかい?」
尋ねれば、扉の外で『うん』と声がする。
『それでね、今、夢境にあるバーで臨時のバーテンダーとして働いているんだけど。今ちょうどシヴォーンが…あ、えっと、そこのバーのオーナー…でいいのかな、が居なくてさ。カクテル作り上手くなりたいから、お酒飲める人に感想聞きたいな、って思って。アベンチュリンなら飲むかな、と思ったんだけど…カクテルとか、飲む?』
簡潔に語った彼女に、「ふぅん、なるほどね」と相槌を送る。
「未成年っていう扱いじゃ無いのかい、君。いや、夢境ならそういうのは無いのか?…まぁいいか。マイフレンド、君の質問に答えてあげよう。けど、僕の質問にも答えてくれるかな。確かに僕は酒を嗜む方だ。だけど、どうして僕の事が真っ先に思い浮かんだんだい。君には星穹列車の仲間が居るだろう?」
それに、そもそもどんな対価を払わされるか分かったものじゃない相手に、提案や頼み事を持ち込むべきでは無いよ、と忠告したくなって胸の内に押し留める。
わざわざ言う義理も無いと思ったからだ。
『あ、確かに』
返ってきた彼女の言葉は、軽いもので、思わず苦笑してしまいそうになった。
いくら何でも警戒心を解きすぎだろう…。
『えーっと、なんて言えば良いんだろう…。アベンチュリンにリラックスして欲しかったから…?』
声音だけでも、彼女の言葉に嘘偽りが無いことは分かる。
リラックス、ね…。
確かに、ほんの少しだけ気晴らしがしたいとは思っていた。…思ってはいたのだが。
「どうしてまたそんな発想になったんだい?」
僕の調子など君には関係無いだろう、と思う。それに、こんな風に気遣われるほど親密な関係性を築けていたとも到底思えない。
だって、そういう風に僕が誘導したんだから。
だが、彼女の答えは、僕の意表を突くものだった。
『この前会った時に疲れてる風に見えたから。…ここのカクテル、精神を落ち着かせる効果があるんだよ』
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作者名：シメ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時：2024年2月1日 19時
