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『あー……あ、アリ…いや違うな。何ちゃらリン、みたいな……う〜ん、あ!アベンチュリンだ…!』
合ってるでしょ、と視線を送れば、彼は、アハハとお腹を抑えながら笑った。
「うん、良い笑顔だ、思い出してくれて何よりだよ」
思い出してスッキリした、と安堵の息を吐けば、アベンチュリンは顎に手を当てて、考えるような仕草をした後、「なるほど」と呟いた。
「開拓者の君は交友関係が広いだろうからね。印象に残せなかった僕に非がある、か」
『わ、忘れてた訳じゃ無いからね!貴方に頼らずにちゃんと名前呼べたでしょ?』
慌てて弁解すれば、「そうだね」と返事が来る。
「まぁ忘れたままだったとしても、僕の気分が少し落ち込むだけだったと思うよ。それにしても、アベンチュリンって一応宝石の名前なんだけど君、耳にした事も無かったのかい?…あぁ__そうか、君にとっては宝石自体馴染みが無いものなのか。それに、そもそも興味も無さそうだ」
捲し立てるような口調に、思わず萎縮する。
『認める、認めるよ。忘れてて悪かったって……』
肩を落として自身の非を認める。そんな私とは対照的に、彼は朗らかに笑った。
「あはは、そんなに塩らしくならなくても良いのに。誰だって人の名前を忘れる事はある。耳馴染みの無い名前だったら尚更ね」
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2024年2月1日 19時