【名探偵コナン】気紛れ［赤井秀一］〔短編集〕 (ページ40)

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Ep.5-2 ページ40

『…お久しぶりです、昴さん!』

店の前で待ち合わせをしていたので、
彼の姿を発見し駆け寄る。

スプリングコートを身に纏った彼は、
隣に立つのが恥ずかしいぐらいのスタイルの良さだった。

「えぇ、…お久しぶりです。学会の論文で忙しくて…、
中々時間が取れなくてすみません。」

『いえ!こうして会えるだけで私は幸せです。』

店の中に入り、店員に席へと誘導されながら話を続ける。

席に座って、いくつか料理を注文した。

店の雰囲気も落ち着いていて、
心を踊らせていると、笑いかけてくれた。

「…素敵です。」

『分かります!店内の装飾、素敵ですよね。』

「いえ、違いますよ。Aさんが素敵だと言ったんです。」

『………え!?あ、ありがとうございます…?』

じ、と見つめられて、顔が熱くなる。

よく考えたら社交辞令か、と冷静さを取り戻し口を開いた。

『そういう昴さんの方が優しくて素敵ですよ。』

微笑みかけると、
彼は驚いたのか暫し固まってから言葉を返した。

「…僕が優しい、…ですか?」

『そうですよ。だって、初対面で告白してきた人に、
応じてくれる人なんて中々居ませんから。』

そう言いながら、今しがた運ばれてきた食事を口に運んだ。