存在 ページ5
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｢武田さんお久しぶりです｣
｢久しぶり、全然連絡出来なくてごめんね｣
｢いいえ、お仕事の方は片付いてきたのですか？｣
｢まあまあかな、今日は息抜きってことで｣
息抜きがこんな私で良いのかって思ってしまう。
自宅で武田さんが好きな映画鑑賞とかもっといい息抜きがあるのに、
飲み物はアルコール度数の低いものを頼まれてた。
仕事が大変な分、疲れを残してはいけないのだろう。
ましてや、二日酔いだなんて頭も痛いし吐き気もするし疲れる。最悪な組み合わせだ。
でも、話によると武田さんはお酒が強く、一度も二日酔いになったことがない、と。
どれだけ飲んだら二日酔いになるのか確かめてみたい、と言っていた武田さんは子供のような笑顔だった。
私は誕生日が来ればお酒が飲める歳になるけど、お酒の匂いだけで酔ってしまいそうになるから、多分本当に飲んだらすぐに酔ってしまうんだろう。
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｢あ、武田さん｣
｢この間いらっしゃってた平野さんらしきをシンガポールで見かけたのですが、｣
｢あー、多分それ平野だと思うな。この前話したプロジェクトの話。あれ、シンガポールの企業と連携してやることになってるから、それの派遣で平野にはシンガポールに行ってもらってる。｣
｢そうだったんですね｣
やっぱり、あれは紫耀だったんだ。
｢ごめんね、寂しい思いさせてるでしょ｣
｢え、？｣
｢平野といい感じだったんじゃないの？｣
｢どうして、｣
｢感…かな｣
どうやら、武田さんには気づかれてたみたいだ。
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作者名：しゅあ | 作成日時：2018年8月21日 4時
