大好きだなんて言わないで【霧野蘭丸】 (ページ7)

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ゆっくり歩いてきたためか、時間はかなり経ち、
新入生の中でも最後の方になってしまっていた。

雷門高校の校門をくぐると、そこにはざっと200人ほどの新入生が騒いでいた。

もちろん、ともに騒いでいるのは親と。

…おばさんが来れないのはわかっている。
むしろ、おばさんに来なくていいよう言ったのは私だ。

わかっている。
わかっているけど、でも…
胸の寂しさは、悲しくも感じてしまう。

…今までずっと我慢してきたでしょ。
そろそろいい加減、慣れないと。
私は普通じゃないんだから…。

私は校舎の中に入り、自分の靴箱を確かめて開けた。
その時だった。

霧「あ！Aー！」

「！……あ、霧野くん…。」

あまりに驚いて、靴箱から取り出したスリッパを落としてしまった。

霧「A、俺より先に着いてるはずなのに
こんなに遅いってどういうことだよ(笑)」

？「こら蘭丸。女の子にはもっと優しくしないと駄目でしょう。」

霧野くんが話しかけてくれているのに、
霧野くんの隣にいる綺麗な女の人に目がいってしまう。

霧「またそれかよ。母さんはいつもそればっかだなー。」

「おっ、お母さっ…！？」

？「それは蘭丸が紳士じゃないからでしょー？
もっと拓人くんを見習いなさい。

はじめまして、Aちゃん。
蘭丸の母です。美麗って呼んでね。」

霧野くんのお母さん…。
霧野くんが高校生なわけだから、そんなに若いってわけじゃないはずなのに、
すっごく綺麗。
スタイルも良くて、なにより気品の良さが感じが良い。

いいなぁ、入学式に来てもらえて…。

蘭ママ「Aちゃんのことは、さっき蘭丸から聞いたばかりなの。
こんな子だけど、仲良くしてやってね。」

霧野くんには、こんな綺麗で気さくなお母さんがいるんだ。

霧「そろそろ入学式が始まるんじゃないか？
時間も時間だし、教室に行くか。」

蘭ママ「あら、そう？
じゃあ、私は体育館に行くからね。

あ、そうだわ。
Aちゃんのお母様はもう体育館に向かっちゃったかしら？」

あ…。

「…すみません。
うちの親は…忙しく、て…来れないんです。」

蘭ママ「え？あ、ああ、そうなの。
じゃあ、私がお母様の分まで、
Aちゃんを目に焼き付けておくわね。」

美麗さんは笑ってそう言ったけど、
多分私と親に何か事情があるということは
なんとなくでも察したんだと思う。

私も、私も……

……普通だったら…